情報処理技術者試験 システムアーキテクト合格体験記 | s_kakunoのブログ

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大変めでたいことに、情報処理技術者試験のシステムアークテクトという資格をゲットすることが出来ました。国家資格なので、経済産業相の署名、すなわちあの枝野幸男さんの名前が入っていて、とてもテンションが上がりました。

ということで、なんで受かったのかを忘れる前に合格体験記を書いておきますので、興味のある方は参考にしてみてください。

○情報処理技術者試験とは

独立行政法人である情報処理推進機構が主催している国家試験です。IT技術者のスキルをはかるための試験で、下記のように分かれています。

・初級~中級(共通区分)
ITパスポート:エンジニア向けのエントリー試験、またはユーザーとしての一般知識(でも意外と難しい)
基本情報技術者試験:エンジニア向け初級試験
応用情報技術者試験:エンジニア向け中級試験

・高度(専門区分)
ITストラテジスト:社長やCIO向けのシステム化の提案を作る人
プロジェクトマネージャ:社長やCIOからGOの出たシステム化構想を、具体的な計画にしてエンジニア達を動かす人
システムアーキテクト:社長やCIOからGOの出たシステム化構想を、現実的なシステム構成に落とし込む人(システムの建築家) ・・今回受かりました。
ネットワークスペシャリスト:ハードウェアどうしを、あるいは他のシステムやインターネットとを、どうやってケーブルとかをつないで結びつけるか、どういうルールにするか、などを考える人
データベーススペシャリスト:システムが扱うデータがどれだけあって、どれだけ見つけやすくするか、壊れた時はどうするかなどの、システムのエンジン部分を考える人
エンベデッドシステムスペシャリスト:組み込みシステム(携帯やカーナビなど)のエンジニア
ITサービスマネージャ:データセンターなどの管理者


○どんな試験?どれくらい難しい?
システムアーキテクト試験は、午前午後あわせて6時間試験が続きます。
午前1、午前2がマークシート式の問題で、応用情報技術者試験くらいの難易度です。
午後1が記述式で、午後2がなんと、論文2400文字程度を書く試験・・・
結局、この論文があるということで、合格のハードルを大幅に上げている試験です。
何の論文かというと、問題文であるお題が程度され、そのことに対して「システムアーキテクトとして」自分ならどうするかを論述するものです。
まあ正直、2時間でお題にあった論文を書き上げることは、特別な訓練をしなければ無理です。
ただ、合格率10%強の試験でありながら、午前1、2、午後1の足切りをクリアして論文まで到達すれば、2人に1人が合格しているので、論文を極度に恐れる必要は無いでしょう。実際、僕の論文も中学生の作文くらいのレベルだったので。


○どんな勉強をした?
とりあえず受験前の時点で、基本情報と応用情報には合格していて、かつIT業界で10年の勤務経験があるので、午前1、2は勉強なしでも通るくらいの知識量はありました。
なので午前対策としては、過去問を三年分くらい解くだけでなんとかなりました。
午後1ですが、これも最終的には過去問を解きまくったんですが、その前に翔泳社のテキストを熟読しました。また、UMLの本(UMLモデリングの本質)を一冊買ってきて、モデリングの体系的な知識をさっと学びました。テキストからは解答テクニックと、過去問を分類ごとに読み、解くことが約に立ちました。はじめから前提となる知識がある程度あったので、しっかり対策した結果8割近く得点できました。
最後に午後2、これが最大の関門でした。対策といえば、まずは問題文を読み、どのような問題が出るか理解しました。問題で問われていることイコール、システムアーキテクトが解決すべき問題なので、これでシステムアーキテクトの何たるかをイメージすることができました。次に、テキストに書いてある解法に従い、模範論文を作りました。その次は、この模範論文を紙の原稿用紙に再現、さらにその次は、別の問題文から論文を作成。この繰り返しも行い、最後は添削サービスを利用しました。


○学習のポイント
くりかえしますが、論文までは地力でクリアできたので、論文がかけるようになるまでが本当に大変でした。
まず一発めの模範論文を書くことが、メチャクチャきついです。電車の中や、家で家族が寝た後など、いわゆるスキマ時間ではまず書くことはできません。僕は土日の子供が昼寝している時に2、3時間抜け出して、喫茶店やマックで論文をゴリゴリ書いていました。理想は図書館なんですが、あまりに殺気だっているので僕には無理でした・・・
そうやって、模範論文を一冊書き上げる。なんなら、模範解答を90%くらいコピーしても良いので、とにかく書き上げる。それが出来たら、次に2時間以内で何も見ずに模範論文を書き上げる訓練をする。出来ても出来なくても、それを2、3回繰り返せば、2時間で書けそうなレベルになってきます。
この時点で、もし本番でほぼ同じ問題が出てくれば、覚えている模範論文を書いて合格となるわけです。あとは、問題文に合わせてどう模範論文をカスタマイズするかです。問題の内容によっては、頭の中の模範論文がまったくそぐわず、書きなおしをする必要が生じますが、それも、どれだけ論文に書く材料のストックを作っておくかにすぎません。
つまり、ある一つの問題に対し、「どうすれば正解となる論文を書けるのか」が分かるようになることが、合格に向けて必須となるのです。


○合格のメリット
高度試験に合格したという実績と、肩書きが付くこと。
また、それもさることながら、論文を書けるようになることで、仕事における「考え方のフレーム」「表現のフレーム」を身につけることが出来ます。
どういうことかというと、2時間で2400文字書くということは、じっくり文章を考えているヒマは無く、脊髄反射に近いレスポンスが要求されるということ、つまり、会話のようなスキルに近いということ。なので、結局はお客さんや上司、あるいは部下に質問された時に、「どういう内容を」「どういう話し方で」返答すべきか、即座に判断する訓練になるのです。
もっと具体的には、仕事をする際に相手の質問からキーワードを「ひろう」ことと、返答の際に「話す順序、例示、根拠付け」の工夫をすることを学びました。
あともちろん、システム構築の際のいわゆる「上流工程」について、理解を深めることが出来ました。これは今後、改めてまとめてみようと思います。


○最後に
というわけで晴れて「システムの建築家」になりましたので、「システム建築」がご入用の際は、是非ともごひいき頂きたく。。。