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日立システムズホール洗濯
仙台フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会
高関健さんのブルックナーは2017年5月の京響定期の2日目で、ブルックナー5番以来。今回は仙台フィルの9番。
プレトークで版のこだわりを述べ、今回は最初の限定版「オーレル版」を使用。更に推敲した版での演奏になるとの事。最近演奏される機会のコールス版は、あまりお気に入りではないようだ。
高関健さんの指揮のイメージは楽譜に基づいての楷書の演奏。
仙台フィルは秋田在住なので、聴く機会は少なくないのだけど、どちらというと水彩色っぽいオケのイメージ。
まさか、高関健指揮仙台フィルからデーモニッシュなブルックナー9番が聴けるとは。
第1楽章は、柔らかな入り。ふんわりとしている。嵐の前の牧歌的な情景。そこから第1楽章の終わりに至る過程で次第にデーモニッシュになっていく。最後のビックバンのテンポのうねるような凄味。高関健さんは、こんな指揮をする人だったんだ。
第2楽章のスケルツォ。切れ味のある演奏が多い中、ハードパンチなみの厚みのあるスケルツォ。仙台フィルは、こんなに馬力のあるオケだったのか。仙台フィルは特にホルンセクションの厚みが良くブルックナー9番の厚みある演奏に貢献していた。
第3楽章。果てしなく天に登っていくような感覚。宇宙的と言うベタなワードを敢えて使いたいくらいの別世界。終わりの余韻も良かった。
主観的であるのは承知しているけど、ブルックナー9番の実演では、1番演奏の呼吸と自分の呼吸が一体になれた。9番は、ある意味現代音楽の先駆け的だと指揮者の大野和士さんが仰っていたのを思い出し、その響きをデーモニッシュな演奏で高関健さんと仙台フィルは示した。
前半はイム・ユンチャンさんのピアノでショパンコンチェルト2番。イメージよりも繊細な表現をするピアノの音色で、オケとの呼吸も良かった。アイドル的ピアニストみたいだけど、歳を重ねた時に、また聴く機会があればいいな。シューマンも合いそうだ。