2024/2/24
アトリオン音楽ホール
フルートリサイタルは初めて足を運ぶ。
フルート独奏は、2017年2月の名フィル定期で上野星矢さんがソリストで、ハチャトリアンフルートコンチェルト(ヴァイオリン協奏曲のフルート編曲版)を聴いた事はあるが、室内楽のフルートリサイタルは初めて。
長沼侑奈/フルート
大山宙透/フルート(賛助出演)
佐市/ピアノ
バッハ:フルートと通奏低音のためのソナタ
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲(サマズイユ編)
プーランク:廃墟を見守る笛吹の像
プーランク:フルートソナタ
休憩
サン=サンース:アダージョと変奏 歌劇「アスカニオ」より
ペトラッシ:天使の対話
ドップラー:リゴレッド幻想曲
ローゼンブラッド:カルメン幻想曲
アンコール
サティ:ジュ・トゥ・ヴー(あなたが欲しい)
作曲家によっての、フルートとピアノの弾き分けが見事。前半のプログラムでは、ドビュッシーの牧神の午後の前奏曲が、ふくよかに微睡むフルートの音色に佐市さんの重心の低めのピアノの音色か、ドビュッシーは本来は地に足がついた響きが本来のものかも知れないなと、先日聴いたアリス・アデールのドビュッシーを思い出していた。
プーランクの廃墟を見守る笛吹の像とフルートソナタか続けて演奏。
フルートソナタのフルートとピアノの音色がまた違う。ドビュッシーの微睡みから、知の意思を感じるプーランク。ピアノの彫琢のある演奏。
惜しいのは二楽章終了後に拍手が起きてしまった事。長沼侑奈さんが微妙に動揺したように自分には見えたが、佐市さんが落ち着いており、呼吸を整えてから三楽章に移行したのは見事だった。
休憩後の後半は、サン=サーンスから。サン=サーンスも響きが違う。ドビュッシーよりは重心高くてサラリとした軽みがある。
ペトラッシのアダージョと変奏は賛助出演の大山宙透さんが加わり、2本のフルートによる無伴奏曲。無調・12音技法が使われた曲だが、2本のフルートが旋律を入れ替え、離れ、溶け合う響きは凛とした響きで質の良い響き。
ドップラーのリゴレッド幻想曲は、佐市さんの伴奏の緩急ついた呼吸のピアノに、長沼さんと大山さんが自由に動いてる感じ。
ローゼンブラッドのカルメン幻想曲。佐市さんのフォルテッシモのキレのある音色から始まる。カルメンお馴染みの旋律がフルートから奏でられ激しいグルーヴと優雅な演奏。
アンコール
サティ:あなたが欲しい(ジュ・トゥ・ヴー)
フルートの奥深さに初めて触れた気がしたリサイタルだった。
リサイタル終了後、佐市さんの本業である佃煮の佐市の佃煮がロビーで販売していたので三個セット千円を購入した。土崎アパート帰ったら食べる。