↑2017年の夏に京都河原町のライブハウス、アバンギルドで旅成金京都の会を観に行った。柳亭小痴楽師匠、神田伯山(当時松之丞)先生、そして瀧川鯉八師匠の三人会だった。まだ三人とも二ツ目の頃で成金の勢いが凄かった頃だ。会が終わり早々とアバンギルドを後にしようとエレベーター前に行くと着替えて半ズボン姿の小痴楽師匠と鯉八師匠が居て、エレベーターのボタンを押してくれ、二人に会釈してエレベーターに乗った記憶がある。もちろんお二方は覚えていないだろうけど。あれから七年。まさか地元の秋田で鯉八師匠の高座を観る事になろうとは。
2024/2/3 秋田アルヴェ
予定を変えて四席を高座にかけてくれた。
長崎
新日本風土記
仲入り
やぶのなか
厚化粧
長崎は観た事あるネタで、「お腹すいた。」が聞けて懐かしさが込み上げる。ほとんど新作落語しか高座にあげない鯉八師匠だけど、世界観の描写の上手さは7年前と変わらない。むしろ描写の厚みが増している。
他の三席は初見。農家の春夏秋冬を昔話のような新日本風土記。農家の夫婦二人がドンと出て背景は写真のぼかしのような感じの世界観。二人が際立つ。
仲入り後から、鯉八師匠の顔付きが変わった。寄り気合が入ってギヤを入れた感。
やぶのなか、面白い。特に眼の奥が笑ってない旦那さんの表情の顔付きと変化。こんな顔の人いるいると思いながら観た。登場人物のキャラと描写が、シュールな劇画風に見えてくる。
トリネタは厚化粧。しゃがれた声のスナックママたちのキャラでゲラゲラ笑う。ほんとに劇画。
まくらでは先日他界した紙切りの林家正楽師匠の思い出や、師匠と弟子の関係もサラリと。
7年前に観た鯉八師匠の高座と真打昇進してからの鯉八師匠の高座は、空間の厚みが増し、人物のキャラが飛び出す劇画のようで(二ツ目の時の高座は現在よりも線が細かった。)新作落語でも飽きずに最後まで観る事が出来る。
ライカかカールツァイスのレンズで背景をボカシて人物をズームアップさせたような高座の空間。背景の厚みもあるから人物が浮きでてくる。
東京の寄席で鯉八師匠が主任のときに観に行きたくなった。