量子の世界ー9 | 松野哲也の「がんは誰が治すのか」

松野哲也の「がんは誰が治すのか」

治癒のしくみと 脳の働き

 近代コミュニケーション技術の父である、忘れられた天才二コラ・テスラ(彼の名前(テスラ)は電磁気の単位として今でも使われています)は、20世紀初頭、宇宙空間を満たす original medium (「原・媒体」)について語り、それを光を伝播するエーテルである「アーカーシャ」になぞらえました。

 彼が1907年に書き、未発表に終わった論文、「Man’s greatest achievement (人類最大の達成)」には、この一種のフォース・フィールド(力の場)である原・媒体は、プラーナ(生気)の作用を受けると物質になり、その作用が停止すると、物質としては消滅して元のアーカーシャに戻ると述べられています。この媒体はすべての宇宙空間を満たしているので、宇宙に生じるすべてのものはこの媒体に由来すると考えることができるというのです。 

 

 

 テスラは、当時アインシュタインによって提唱されていた空間の湾曲によって存在の由来を説明することはできないと主張しました。

 しかし、20世紀の最初の10年が終わるころ、物理学者たちはアインシュタインが数学的に厳密に構成した4次元の湾曲する時空連続体を採用し、少数の異端の理論家たちを除いては、宇宙を満たすエーテル、媒体、力の場などの概念を検討しなくなりました。テスラの洞察に満ちた考え方は不評を買い、やがて忘れ去られたのです。しかし現在、テスラの考えが再び脚光を浴びるようになりました。「量子真空」という概念が物理学の世界で皆の支持するところとなったからです。

 

 

 

 ところで、「エーテル」「アーカーシャ」とは何でしょうか。

 

 

 すべてのものが素粒子レベルで繋がり合っているという現代の量子力学の考え方は、いにしえの知の「再発見」と言ってよいかもしれません。それは、直感的な洞察として得られた古代の宇宙観の殆どすべての根底にあるものなのです。

 

 ヒンドゥ―教の宇宙観では、むすびつきの原因となるものは、アーカーシャ(虚空)と呼ばれており、宇宙の5元素のなかで最も基本的なものとみなされました。ちなみに、ほかの元素は、ヴァータ(空気)、アグニ(火)、アブ(水)、そしてブリティヴィ(地)です。

 

 インドの宗教家スワミ・ヴィヴエーカナンダ(1863~1902)は、アーカーシャを次のように説明しています。

 「アーカーシャは、あまねく存在し、すべてのものを貫く存在である。形あるすべてのもの、結びつきの結果生じるすべてのものは、このアーカーシャから進化する。気体になるのも、液体になるのも、固体になるのも、アーカーシャである。太陽、地球、月、星、彗星になるのもアーカーシャである。人間の体、動物の体、植物、われわれが目にするあらゆるもの、感じることのできるすべてのもの、存在するすべてのものは、アーカーシャである。それは感知することはできない。きわめて精妙であるため、あらゆる通常の知覚を超越している。粗雑になり、形をとったときしか見ることができない。創造のはじめには、このアーカーシャだけが存在した。サイクルの終わりには、固体、液体、そして気体は、すべてアーカーシャのなかに溶け込み、そして次の創造が、やはりこのアーカーシャから始まる」(Swami Vivekananda “Raja -Yoga”)。  

 

 

  西洋においてはアリストテレスが、その自然哲学のなかで、アーカーシャに似た第5の元素を導入しました。彼はそれをエーテルと呼び、それは月より上の空間全体に満ちているとしたのです。

 近代になると神智学協会の創設者ブラバッキー夫人はアーカーシャをリアリティのより深い根底にある「ムラプラクリティ」の放射物であると述べました。 

 彼女の影響を受けたルドルフ・シュタイナーはこの考えを発展させて、人類がそこから自分たちの過去と現在、そして未来に関するすべての知識を得ることができる、一種の普遍的な「日記」である「アカシック・クロニクル」というものを提唱しました。

 

 

 これから「量子真空」について述べようと思います。