肝臓ガンの研究(2) | 松野哲也の「がんは誰が治すのか」

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肝臓ガンの研究(2)


 肝臓ガン細胞の代謝的性状が一部明らかになったので、次は肝臓ガンに薬剤で対処する研究にとりかかりました。

 それには
a) グルタミンの利用をブロックするものとして、その類似化合物で毒性の少ないものを見つけるか化学合成する。
b) 肝臓ガンに見だされた新しい経路を阻害する薬剤としては、AOA(アミノオキシ酢酸)がある。しかし、毒性がありヒトには使えないので、その類似体を見つけるか化学合成する。
c) 上記の抑制反応を増強し、ガン細胞を死滅させる物質を探索する。
以上のことが戦略として考えられたのです。

a)のDON(ジアゾオキソ・ノルロイシン)は抗生物質でもあり、それ単独でヒト肝臓ガン
 に使い、それなりの効果をみたという症例報告もありました。


事実、DON、AOAそれにアンフォテリシンBを投与し、温熱療法を行うと実験動物で肝臓ガンの増殖は阻止されたのです。

 そこで、人体にも使えるような無害な類似化合物の化学合成実験が始まったのでした。併用する物質の探索も行われました。

 前述した平井先生の、「化学合成実験で爆発が起き、研究所が吹っ飛んでも一向に構わないから・・・」という言葉を聞いてほっとしたものです。


 彼については私がアメリカに戻ってから改めて書く予定です。


 しかし、なかなか目的にかなった治療薬は見つかりませんでした。