2024年7月1日より、犯罪を犯した者は16歳から本名も顔も隠さずに公開する事となった。
更に2025年4月1日より、全国の国公立小学校、中学校、高等学校の授業料を無償化とする事も可決。
平和島のサヤマ運輸に向かう車中、坪倉総理と酒井官房長官。
「総理、批判もありましたが、意外にあっさり可決されましたね。」
「凶悪犯罪の低年齢化が問題となっている今、遅かれ早かれこうなっていたでしょう。」
「私立や大学の方もいろいろ意見が出ています。」
「それもいちばん良い方法を考えて早急にやっていきましょう。子育ての不安や少子化対策になればいいですね。」
「で、総理、いつまでこのバイトするつもりですか?もうそろそろいいのでは・・・お身体も心配ですし、もし正体がバレたらと思うと・・・。」
「分かってますよ。あ、津波対策に救命胴衣はどうですか?」
「救命胴衣?どういう事ですか?」
「津波警報が出た時、逃げ遅れた時に最悪沈まないでいられたら助かる確率は上がるのではないかと。」
「それで救命胴衣ですか。」
「笑う人もいるでしょうが、実際に津波に呑まれてしまったら、それこそなりふり構わず藁をも掴む心境になるでしょう。そんな時少しでもパニック防止になるでしょうし、浮いている事が出来ればと。」
「救命胴衣を配布するんですか?」
「はい。海沿い地区の住民と企業、あとは希望するその他の地域住民に配布出来ればと思います。」
「そうですか。東京だけでなく全国にですか?」
「勿論です!」
平和島競艇場付近に着くと、伊達眼鏡をかけて作業服を着た総理が車から降りて歩き出した。
「あ、総理!」
「どうしました?」
「今夜から数メートル離れてSPがご一緒しますので。」
「え?」
「夜はやはりお1人で歩かせる訳には・・・。」
「そうですか、分かりました。」
「朝まで近くにいますので。」
「え?一晩中SPを?」
「はい、地震のこともありますし、やはり何かあった時にすぐ対応出来る様にと。」
「あぁ、そう言われればそうですね。」
「ではSPの皆さん、お手数ですが宜しくお願いします。」
そう言いながら3人のSPに頭を下げると、平和島の暗闇の中に消えて行く坪倉総理だった。
〜つづく〜
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