ショートストーリー 第六話。 | SHOW-ROOM(やなだ しょういちの部屋)

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あれからまた更に1ヶ月以上が経過しても、2人の距離は中々縮まらないでいた。

配達に行った時、前よりは話すようになってはいるが、やはり拓也を下に見ているようで何度か食事に誘っでも笑ってごまかされてしまう。

そして代官山の件から半年が過ぎた時、ついにその時がやって来る。

「日曜日の午後、ティータイムにホテルのケーキバイキング行きませんか?」

前に酒よりスイーツが好きだと聞いていたので、昼間の明るいうちならどうだろうと思い付いたのだった。

「日曜日?ん、まあ、いいかな。行きますか。」

やっとである。

毎日何かにつけて食事に誘い断り続けられた半年、遂にデートに誘うことに成功したのだ。

日曜日は会社関係が休みのところが多い為、バイク便のバイトが昼には終わるので、佐伯の休日に合わせてのことだった。

 当日、同じ沿線だけど横浜で待ち合わせ。

まだ田園調布に住んでいることを言ってないし、未だにLINE交換もしていない為、あらかじめ横浜駅に14時と約束をしたのだった。

時間より15分も前に拓也は着いた。

それから間もなくして14時前に佐伯がやって来た。

「こんにちは、なんかいつもと感じが違いますね(笑)」

佐伯が私服姿の拓也を見るなり控えめな笑みを浮かべながら言った。

「そうですか、いつもバイク便の汚いツナギですからね(笑)」

ホテルのラウンジに着き、それぞれケーキやドリンクをテーブルに運ぶ。

「嬉しいな、佐伯さんと休日を過ごせるなんて。」

「はい?彼女とかいないんですか?」

「いたら誘いませんよ。」

「そうなんですか(笑)」

「え、佐伯さんは彼氏いるんですか?」

「いないけど・・・。」

「えっ?いないけど何ですか?!」

〜つづく〜