「未来の息子」
椰月美智子
第一話
「未来の息子」
中学2年生の理子は、放課後に友達とコックリさんをやる
占うのは、好きな先輩のこと
だけど、ちょっと不気味な現象が起きて…
もしかして、コックリさんの呪い!?と、おびえる理子の前に現れたのは
小っさなオジサン!
しかも、「未来の理子の息子」だと言う

めーっちゃ不思議なハナシだと思った
未来の息子が、小さなオッサンの姿で中2の少女の前に現れる(笑)
前半のコックリさんのくだり、いる?
ちっさいオッサンである必要性、ある?
とか
思いながら読んでいたんですけど
未来の息子であるはずのオッサンが
どうして小さくなってまで中学時代の母(理子のこと)に会いに来たのか?
理子が大人になって、子供を産んで、さらにその子どもがオッサンになるまでには
長い長い年月を挟んでいて
当然のことながら、いろいろなことが起きていろいろなことが変わる
それは、恋や数学や家族のことで悩んでいるような思春期の少女には
とても想像できないさまざまな出来事が待ち受けているということが
少しずつわかってくる
なにも、すごくドラマチックな出来事じゃない
どんな人生にも起こり得る、出会いや避けられない別れ
それを知ったとき、理子は不思議と怯えることなく未来を受け止めようと決意する
物語のはじめでは、理子はコックリさんに恋の行方を占ってもらっていたのに
小さなオッサンのになった息子との出会いを通して
この先きっと
うまくいかないことや、哀しい別れがあったとしても
生きている限りは道は続いているんだ
自分が死んだとしても、誰かに道は繋がっていくんだと感じる
だから、結果的にどうなっても大丈夫だという気持ちになるのだ
私も、毎日いろいろなことに怯えながら
心配しながら生きているけど
どんな悩みも、いつか成るように成る
おさまるところへおさまるだろうと
そう思いながら今この瞬間の鮮やかさだけを味わって生きたいと思った