おまじない
西加奈子

下差しコレの続きです

「オーロラ」



不思議な魅力を持つダンサーの女性、トーラと
会社員の「私」

アラスカへオーロラを見る旅に出かける


長い道中、いろいろな人や景色に出会うが
トーラはいつもトーラらしくいる。


ときおり、美しいトーラに見とれながら、「私」は旅をする

彼女たちはオーロラを見ることができるのか






旅の描写が仔細であるため
半分著者の旅行記みたいなものかな?とはじめ思ったんですけど


恋、しかも終わりかけの恋の話でもありました


祈ってもオーロラが出ない日があるように
穏やかに思い合っていても、恋が永遠ではないように

自分ではどうしようもないことがある。

自分には止められない流れがある。


もしオーロラが出たら、ふたりの恋はなにか違っていたのか…?
多分なんとなくだけど、変わらなかったような気もする


「私」は、この場所が自分たちのことをすべて忘れてこのままでありつづけることを願う


それはもしかして、
これから自分たちに起こるだろう変化を予感して
なにも変わらないこの場所を目印にしたかったのかなぁと思った


真っ暗な夜道を歩くときの月とか街灯の明かりみたいに


これからなにかが変わるかもしれないけど、
ここに戻ってくれば、なにも変わらないままの場所があるという安心感?



そういう意味では、二話目の「浮ちゃん」を思い出した

永遠なんてものはないからこそ、変わらない場所が貴重なのね