僕は全盲で車いす。
彼女の働いている会社は駅ビル内にあり
会社の隣には美容室が入っている。
僕と彼女は2年くらい前から
その美容室に通っている。
僕は、ほぼ毎日、彼女と一緒に出社させてもらい
筋トレをしたり、歩行訓練をしたり
自由に自分の時間を過ごさせてもらっている。
社長には感謝しかない
会社内の車いす移動はほぼ自分で出来る
時々、会社の裏口から外へ出て
日に当たったり、タバコを吸ったりもしている。
会社の裏口は駅ビルに入っている店舗の
共有出入り口でもあるので
僕が裏口から出て外にいると、隣の美容室の
美容師さんもタバコを吸いにやってくる。
3人ほど美容師さんにタバコ友達がいる
その日も僕がタバコを吸っていると
休憩でタバコを吸いに
一人の美容師さんがやってきた。
色々と話しをしながら二人でタバコを吸う。
美容師さんの休憩が終わり
お店に戻って行った。
そして僕は、ある所に電話をかける。
「お電話ありがとうございます!〇〇美容室です」
のぶ 「あ、すみません、渡邉〇〇です」
「渡邉さん!?すぐそこに居るじゃないですか」
のぶ 「そうなんですけど、予約の電話をしてみました」
「ご予約ありがとうございます。でも、さっきそこで言ってくれれば良かったのに」
そう、この電話に出てくれた美容師さんは
ついさっきまで、僕と一緒にタバコを吸っていた
美容師さんなのだ
美容師さんが、お店に戻ったあと
僕のちょっとしたイタズラ心が発動したのだった。
普段、僕は彼女からのイタズラをもらっているが
彼女にお返しすると怒られそうなので
彼女にもらったイタズラを
美容師さんに違う形でお渡ししてみた
僕なのでした
『のぶくん、美容師さんも忙しいんだから、めっだよまったく、それじゃ恩送りならぬ、イタズラ送りになっちゃうよ』byさち
「ごめんなさ〜い」 byのぶ
『そんな子に育てた覚えはありません』byさち
恩送りとは
誰かから親切や善意を受けたら、それを相手に返すのではなく、ほかの誰かに渡していくのが「恩送り」です。 受けた恩を直接その人に返すのではなく、別の人に送ること。
※このお話はノンフィクションです。