光る君へ第22回あらすじ&感想後編 | NobunagAのブログ

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光る君へ

第22話「越前の出会い」後編



恐ろしい悲鳴をあげつつ

はりによる治療を受けた為時だが

すっかり調子が良くなっている。


「よくなったやもしれぬ」


「ああ…」


周明は為時の顔をつかみ

宋語で説明し、

三国が通訳する。


「心が張り詰め頭が凝っている」


朱も宋語で語った。


「私は5日に一度、

彼にかかっている。

だから息災なのです」


「ああ…」


為時はニコニコしている

朱を見た。


「これが宋の医学なのか…」


「お大事に」


周明と朱が立ち上がる。


「ありがとうございました」


「まことにかたじけない。

礼を言う」


まひろと為時も頭を下げる。


朱が宋語で話す。


「貢ぎ物の件よろしく

お頼みいたします」


これで借りが出来てしまった…



結局、為時は献上をゆるした。


「これが献上品なのか…」


実資が見たことがない動物に

目を丸くしている。


「ニーハオ」


と、オウムが喋った。


「ニーハオ?

オウムとは奇妙な鳴き声だ」


公任が不思議そうに見る。


「オウムは人の言葉を

まねできるといいます。

宋の言葉やもしれません」


「宋の言葉な…」


公任は尋ねる。


「宋人はこの献上品と共に

何か頼み事をしてきたのですか?」


「さあな」


実資はオウムに夢中だ。


「ただ置いて帰るとは

不可解でありますな」


「不可解…不可解、不可解。

不可解、不可解」


実資はオウムに話しかけた。



朱が為時と筆談している。


「無事に朝廷に貢ぎ物を届けられた。

深く感謝する、だそうだ」


為時がまひろのために

読み上げてやった。


「いつもの通事はいかが

されたのでしょう」


そういえば三国がいない。


「そうだな…」


「ご無礼」


険しい様子で国勝が入ってきた。


「松原客館の通事、

三国若麻呂が殺されました」


為時とまひろが言葉を失う。


「ん」


「はっ」


男が朱の肩をつかむ。


【お前ら何をする?】


「来い!」


【何の事だ、放せ】


朱は暴れるが男たちは

朱の話を聞こうともせず

乱暴に連れ出して行った。


「なぜ朱を」


「あやつが咎人にございます。

今朝、2人が口論かていたことなど

あらゆる証拠がそろっております」


にわかに信じられない為時。


「あの者の話は私が聴く」


「通事がおりませんので

やっかいにございますが」


「筆談をする」


「国守様は咎人などに

お近づきになってはなりませぬ。

こちらで調べますゆえ」


人を殺したとあっては

その者は穢れている…


これがこの時代の考え方だ。


国勝はそれだけ言い残すと

戻っていった。


為時はそれでも首をふった。


「信じられぬ。

あの朱が…。

もし間違いであれば

国の信用に関わる

一大事じゃ」


「異国人のことですゆえ

裁きは難しゅうございます。

このことは左大臣様に

お伝えになった方が

よろしいのではないでしょうか」


「ああ。

あっ」


為時はまた心労のため、

胃が痛んだ。


「文は私が書きます。

父上をあちらの館へ」



まひろは筆をとって、

道長に宛てて為時の名前で

文を送った。



「うむ…この件、

我が国の法で異国の者を

裁けるのであろうか…」


道長の話を受けて実資が

悩んでいる。


まだ国同士のいさかいなどにも

明確な決め事のない時代である。


道長も頭を抱えるしかない。


「これを機に宋国に追い返すのが

よろしいかと存じます」


公任は宋の者たちを危ぶむ。


「藤原為時は優秀だから

越前守に替わったのでしょう。

為時に任せておけばよいのでは

ありませぬか」


斉信はそう述べた。


源俊賢がそれを受けて


「式部省に属していた男が

殺人の裁きができるとも思いませぬ」


と指摘する。


「だよね」


道綱は短く同意。


「されど殺人を見逃すのも

どうでありましょうか。

殺されたのは我が国の者で

ございます」


「だよね」


公任は道長に投げかける。


「左大臣殿はいかがお考えか?」


「明法博士に調べさせた上で

お上にお伺いいたす。

陣定で諮れと仰せになれば

いま一度議論いたそう」


結局、道長にも明確な答えを

出すことは難しいのだ。


場を離れた道長はため息をつくと、

越前からの文を改めて見た。


為時から、を装ってはいるが

まひろの文字だ。


助けてやりたいのは山々だが、

妙案が浮かばない。



道長は明子のもとに向かった。


「お前の父も左大臣であったな」


込み入った話になりそうなことを察し

遊んでいた子供たちを


「あちらで遊びましょう」


と、侍女が連れて行く。


「父が左大臣だった頃のことは

私は幼くて覚えておりませぬ。

ただ、父が失脚しなければ

兄が左大臣であったやもしれぬと

思ったことはございます。

されどこのごろ思います」


明子は柔らかい表情で語る。


「兄には左大臣は務まるまいと」


明子は俊賢に厳しい…


俊賢も明子が思うよりは優秀で

道長を補佐してくれている。


「俺とて務まってはおらぬ」


自嘲気味に言う道長。


「俺の決断が国の決断かと思うと…」


珍しく弱音を吐きながら

道長は悩み込んだ。


「殿に務まらねば

誰も務まりませぬ」


「近頃、口がうまくなったな」


出会った頃の明子は

どこか冷たい印象であり

いつも笑っていて

和みのある倫子とは

違うタイプであった。


そんな明子を見ると道長も

嬉しくなる。


「私は変わったのでございます。

敵である藤原の殿を心から

お慕いしてしまった。

それが私のただ一つの

もくろみ違いでございました」


「ほう…。もくろみ通りであれば…

俺は生きてはいなかったのだな」


なにせ夫婦であれば、

丸腰で睦み合うのだから

寝首をかかれる、

ということもありえたのだ。


そんな道長に明子は微笑む。


「されど殿は生きておいでです。

こうなったら殿のお悩みもお苦しみも

全て私が忘れさせてさしあげます」


明子は道長の杯に酒を注ぐと、

それを道長から取り上げる。


「私が全て」


酒を飲み干すと明子は

道長を押し倒した…


「殿にもいつか明子なしでは

生きられぬと言わせてみせます」



「道長」


慌てた様子で公任が

やってきた。


実資に代わって今は公任が

検非違使別当になっている。


「太宰府に向かっているはずの

伊周が都に戻ったらしい」


「何だと!?」


ようやく太宰府送りにしたのに

まだ駄々をこねているのかと

道長は驚く。


「多分、病の母親に

会いに来たのだろう。

どうする?」


「ああ…」


あれ以来、伊周の母である

貴子は病に伏せってしまったのだ。


「左大臣に聞くなどせずに

とっとと高階明順の屋敷を

あらためればよいのだが…」


わざわざ公任が伝えにくるのは

伊周も辛い立場なのだ、と

せめて道長にもわかっておいて

もらおう、という

意図があってのことだ。


「俺って優しいからな…」


返答につまる道長。


「お前は行かないな」


「うん、公任に任せる」


行ったところで立場上は、

母との面会を許してやる

わけにもいかない。


だからこそ道長とて

かわいそうに思いつつも

母と引き離して

太宰府へと行かせたのだから。


「苦手だな、こういうの…」


苦笑して公任は帰った。



「母上…」


やつれた様子の伊周が、

母のもとに向かおうとしていると


「ここから先は通れぬ。

速やかに太宰府へ向かえ」


検非違使を連れた公任が

立ち塞がった。


「ここまで来たのだ…

せめて顔だけでも見させてくれ。

母は俺に会いたがっておる」


「ならぬ」


「頼む…」


伊周は力なく膝をついて、

公任に懇願した。


あれだけの権力者であった

伊周が力を失い、

ただ余命いくばくもない

母にせめて一目会いたくて

頭を下げている。


公任は舌打ちしてため息をつくと

伊周の側にしゃがみこんだ。


こうなるから嫌だったのだ…


「分かった。

別れを告げてまいれ」


「すまぬ…」


伊周は公任の温情に涙した。


だが…運命は残酷だ。


公任が伊周を残して

帰ろうとすると

暗い顔でききょうが

報告にきた。


「ただいま御母君、

お隠れになりました」



定子が力なく骸となった

母を見つめている。


すぐに伊周がきて、

ふらふらと歩み出す…


検非違使たちが警戒するも

公任はそれを制した。


だが、中宮もいるのに

罪人である伊周を必要以上に

近づけるわけにもいかない。


検非違使たちが、

伊周の周りに立つ。


伊周はただ庭に膝をつくと、

涙にくれた。



「この度はなんとお悔やみ

申すべきか言の葉も

浮かびませぬ」


道長は定子のもとに

足を運んでいた。


「喪に服しておるこの身をいとわず

左大臣殿、御自ら起こしとは

痛み入ります」


「亡き義姉上には幼き頃から

お世話になりましたゆえ」


いまでこそこんなに

歪な関係になってしまったが

子供の頃は道隆は道長を

可愛がってくれていたし、

その道隆の妻であった貴子も

また道長に優しかった…


「帝の御心に背き続けた

兄の所業、許してください」


「はっ」


続けて定子は意外なことを

口にした。


「道長殿、近くへ来ていただけませぬか」


「中宮様…」


ききょうも驚いて定子を見る。


「お願いします」


ききょうが御簾を上げた。


道長は遠慮がちに定子を見る。


定子の腹はこころなしか

大きくなっているようだ…


「帝のお子をみごもっております」


道長が驚愕する。


「父も母も逝き兄も弟も遠く

高階に力はなく…。

帝のお子をこの先どうやって

生み育てていけばよいのか

途方に暮れております。

左大臣殿、どうか、

どうか…この子をあなたの力で

守ってください。

私はどうなってもよいのです。

されどこの子だけは…」


定子は必死だ。


そして、道長とて

子供たちの親でもある。


その気持ちは痛いほどわかる。


帝に異を唱えるように

出家してしまったこの中宮を

自分はどうすればよいのか…


道長は歯噛みするしかなかった。



「なんと…」


「間もなくご誕生だそうに

ございます」


道長は一条天皇に報告した。


「今から高階の屋敷に行く」


帝は慌てて立ち上がった。


「お上!なりませぬ」


道長は心を鬼にして

帝を引き止めた。


「勅命に背き自ら髪を下ろされた

中宮様をお上がお訪ねになれば

朝廷のけじめはつきませぬ」


「ならば中宮を内裏に

呼び戻す」


「朝廷の安定を第一に

お考えくださいませ」


道長は大声で制した。


「我が子まで宿している中宮に

朕は生涯会えぬのか!」


もとより定子のことが嫌いな

わけでもなく、

むしろ誰よりも愛している帝は

声を荒げた。


「生涯会えぬのか」


帝はがっくりと肩を落とす。


「遠くからお見守り

いただくことしかできませぬ」


道長は淡々と述べた。



中宮と帝のことで、

手一杯になってしまった

道長からの為時への返事は

そっけないものと

なってしまった。


「越前のことは越前で

なんとかせよと…

左大臣様の仰せだ」


「左大臣様としたことが

随分頼りないもので

ございますね」


まひろは呆れたように言う。


「そのようなことを申すな」


為時が注意する。


と、男たちの


「こらこら、こらこら…

待たんか!おい!待て!」


大きな声が聴こえてきた。


男たちは必死に別の男を

引き止めている。


どうやらその男は誰かを連れて

こちらに向かってきていたようだ。


「こらこら、こらこら…」


静止も振り切ると、

男は為時とまひろの前に立つ。


「話があって来た」


そう、日本の言葉で

はっきりと喋ったのは

誰であろう、あの周明である。


「待て」


「はっ」


周明を捕まえようとしていた

男たちが手を放す。


「朱様は通事を殺していない。

証人だ」


周明はそう言うと一人の男を突き出す。


為時とまひろは、

流暢に自分たちと

同じ言葉を話している

周明を呆気に取られて

見つめていた。


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三国若麻呂殺人事件…


これについては

おそらくはドラマの

オリジナルの話だろう。


ちょうどこの頃、

宋人たちとの間に何らかの

トラブルがあり、

また同じ頃に朝廷への

貢ぎ物が贈られていた…


という話が残っているので

そこをうまく繋ぎ合わせたのが

今回の話だと思う。


為時は役人たちからのいじめの

ストレスはまだ残っていて、

悩むと胃が痛くなってしまうので

代わりにまひろが道長に代筆を…


このあたりは、

道長とまひろがかつての

恋人同士であったという

設定をうまく使っている。


為時からの文ならいざ知らず、

まひろからの文であるなら

助けたいと道長は思う。


…まぁ、まひろもまひろで

うまく道長を利用しているw


その道長のほうは、

それどころではなくなって

そっけない返事をする

ということになって

しまうのだが…



とはいえ、文をもらった直後は

他の貴族たちの意見を求めたり

自分と同じようにかつての

左大臣であった父を持つ明子に

相談しようとしている。


その明子にはなぜか

押し倒されてしまい、

当初の目的を果たしたのかは

よくわからないが…!


ただ、明子のキャラが

柔らかくなっているのは

道長に本気で惚れた、

ということはあるだろう。


それでいてやはり、

嫡妻ではない、という部分は

それだけ道長を好きになっている

明子からしたら悔しさもあるだろう。


もしかしたらこのさき、

何らかの倫子とのいさかいも

ありえるかもしれない。


というか、左大臣の娘に

相談したいのならば

倫子さまも左大臣雅信様の

長女なのだが…!!


倫子さまに越前絡みのことを

相談しづらいのは、

後ろめたさがあるのか、道長…!



実資に代わって検非違使別当に

なった公任であるが、

道長と2人のときには

タメ口で話している。


このあたりの関係性は

以前から変わることなく

道長は皆より昇進してしまったが

少なくとも友人たちに対して

驕り高ぶる性格ではない。


公任、斉信、年下だから

敬語は使っているものの

行成らからしてみたら

友達でもありつつ、

仕事では頼れる上司でもあり

仲間でもある、という

理想的な関係だろう。


その公任だからこそ、

道長も


「母に会いたくて帰ってきた

かわいそうな甥への対応」


を丸投げしている。


そもそも貴子は道長の義姉で、

仲など悪くなかった。


その息子が貴子に会いたいのに

許してやれないのは、

伊周が罪人だからだが

内心は気の毒、かわいそうに、

と考えているのが道長だ。


だからこそわざわざ公任も

尋ねにきている。


どうせ俺に丸投げするだろ、

でも、それでいいよってことだり


厳しく対応するのか、

温情をこっそりかけてやるかも、

道長からしたら公任に

任せておけば悪くはすまい、

くらいのところだろう。



一応、通説としては

伊周はこのとき中宮に

匿われたが、

密告されたと言われるし

貴子は息子の身を案じながら

亡くなった…とされているから

会うことは叶わなかったの

かもしれない。


糖尿病のために40代で

亡くなった道隆も早かったが

同年代の貴子も、

40代で亡くなっている。


心労もたたったのだろう。


気の毒な最期ではあるし、

ドラマの中くらいは

伊周と会わせてあげて

ほしいなと思ってしまったが

それこそ公任や道長の心情と

視聴者の気持ちをシンクロさせる

脚本のうまさだろう…


伊周は死の際に間に合わず

悔しそうに涙を流していた。


あれが己への後悔の涙ならいいが…


道長のせいでこうなった!


という悔しさのせいかも

しれないのが伊周なので…。



その伊周に引き換え、

やはり定子はすごい。


定子がわざわざ道長に


「帝の子供を宿している、

守ってほしい」


と告げるのは非常に

リスクのある、

しかしながら成功する

可能性が高い賭けだろう。


もともと子供がいることを

公にしていなかったのは


「帝の子供がお腹にいると

呪詛されてしまう恐れがある」


とききょうが語っていた通り。


誰が呪詛する?


政治的に対立している

道長に呪詛される、

という可能性が高いのだ。


もちろんこのドラマの道長は

そんなことをする人ではない、

と我々は知っているが

それは視聴者は神の視点で

物語を観ているから。


定子にとってみたら、

弟たちを追い落とした道長こそ

恐ろしい相手なのだ。


だが、この状況下で道長にこそ

子供がいることを告げてしまえば、

仮に呪詛されるようなことが

起きたときに、

なにせ定子は道長にしか

話していないのだから

真っ先に疑われるのも

道長である。


だからこそ知ってしまったなら

なんとかして守らなくては

いけなくなる。


無論、そうした政治的駆け引きが

なかったとしても、

ドラマの道長は子供まで

害しようとはしないだろうが

詮子さまという、

恐ろしい姉上がいるからな…。


敵であるはずの道長にこそ

助けを求める、

この定子のやり方は

非常に賢い手段であった。


そして、なおかつ

それがそこまで考えての

計略的な意味があるのか

それとも真剣に他に頼る者が

いないからこそ、

道長を頼っているのか

わからせないような演技もいい。


母親だからこそ、

我が子が生き残れるための

最善の手を自然に打っている。


なにせ定子の母である貴子は

何かを間違えて伊周、隆家を

守りきれなかった。


だからこそ定子は、

どうすれば我が子を救えるのか

必死に考えたのだろう。


母としての思いが伝わる

非常に良いシーンだった。