光る君へ第20回あらすじ&感想後編 | NobunagAのブログ

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光る君へ

第20話「望みの先に」後編



倫子はふせっている

詮子の看病を続けていた。


「女院様」


と、薬湯を差し出すが

詮子はただ首を横にふる。


ただならぬ様子の詮子に、

倫子は侍女たちに


「あしき気が漂っておる。

調べよ」


と命じた。



その結果、隠されていた

あやしい壺から

呪詛のための札が見つかる。


「女院様。少々お部屋を

拝見してもよろしゅうございますか?」


「ん?」


倫子は詮子が寝ている部屋を

探った。


「はっ!」


やはり置かれていた壺に

呪符が入っていた。


「何をしておる」


詮子はゆっくり起き上がる。


「恐れながらこれは

呪詛にございます」


壺の中を見た詮子も


「はっ!」


と、後ずさった。


「女房ども、入れ」


「御免をこうむります」


女房たちがさらに部屋を探ると

次々と隠されていた呪符が

見つかっていく。


「いつの間にこのような…」


「中宮は私を嫌っておる。

伊周は道長を恨んでおる。

あやつらが私と道長を

呪っておるのだ。

怖ろしや、怖ろしや。

許すまじ!」


まるで定子や伊周が

犯人だと断言する詮子。


その尋常ならぬ様子を

倫子は黙って見つめた。



「まさかこの屋敷に

伊周の息のかかった者が

おるということか?」


大量の呪符を見せられて、

道長も驚きを隠せない。


「殿、このことは

私にお任せいただけませんでしょうか?」


倫子はそう申し出た。


「ん?」


「屋敷内で起きたことは

私が責めを負うべきに

ございます。

こたびのことも私が

収めとうございます。

殿はどうぞ内裏のお役目に

ご専念くださいませ」


「されど女院を呪詛するは

帝を呪詛するに等しいのだぞ」


道長は事態の大きさを語る。


「それゆえに間違いがあっては

なりませぬ」


倫子には何やら考えがあるようだ。


「私にお預けくださいませ」


「ん?」


道長は悩む。


倫子は穏やかな笑顔を見せている。


「あ…」


道長もハッとした。


倫子は頷く。


道長はため息をついた。


この騒動はきっと、

姉、詮子がわざと仕組んで

中宮である定子や伊周を

追い詰めようとしているのだ。


彼女らを処分できない

帝や道長に対して

不満を抱いていたではないか。


「そうか…。

ではそなたに任せよう」


道長は対処は倫子に

任せることにした。


「このことは帝にも申さぬ。

それでよいな」


倫子は頷いた。


「はい、ありがとうございます」


「うん」



内裏では


「伊周と隆家は何故

出頭せぬのだ」


と、帝が気に病んでいた。


「調べの途中で分かったことに

ございますが、

伊周殿は祖父である

高階成忠に命じて

右大臣様と女院様を呪詛。

更に3月21日、法琳寺において

臣下の修してはならぬ

大元師法を修して

右大臣様を呪詛したことが

明らかになっております」


実資の説明に行成が

心配そうに道長を見つめ、

道長はなぜ呪詛のことが

そこまで広がっているのか?と

訝しんだ…


「証言は得ておりますので

間違いはございません」


「女院と右大臣を呪詛するは

朕を呪詛すると同じ。

身内とて罪は罪。

厳罰に処せ」


帝は厳しい声で命じた。


驚いたのは呪詛された、

とされているはずの道長である。


「お待ちください!」


「実資、速やかに執り行え!」


優しい道長はこうして

止めにはいるだろうと思った

帝は有無を言わせぬよう、

実資に声をかけた。


「ははっ」



兄弟の不祥事により

定子は内裏を出ることを

命じられ、

実家である二条北宮に移った。



貴子は蔵人頭である斉信を

屋敷に招いて嘆願していた。


「息子たちがどうか

重い罪になりませぬよう

蔵人頭の斉信様から

帝にお口添えいただきたく

お願い申しあげます」


「残念ながらここに至っては

もはや私があずかれることでは

ありませぬ」


「今はどうなっているので

ございますか?

お教えくださいませ」


恐る恐る尋ねる伊周には

もはや内大臣としての

尊大な態度は微塵もない。


「女院様と右大臣様を

呪詛したとして帝は

大層、お怒りである。

そうでなければ

中宮様をこちらへ

お帰しにはなりますまい」


院に弓を放ったのは

紛れもない事実だが

呪詛などは伊周には

見に覚えない話…


ききょうもさすがに

それは陰謀なのではないか、と

抗議の目を向けている。


貴子は声を失い黙る。


「呪詛…」


伊周が困惑する。


「呪詛などしておらぬ!」


そう、はっきりと否定した。



帰り際、斉信は旧知であり

恋仲にもなっていた

ききょうの袖をつかみ引き止めた。


「中宮は見限れ。

伊周らが逃げたら

すぐ知らせよ」



「清少納言は裏切り者、

裏切り者、裏切り者」


そんな女房たちの声が

ききょうには聴こえる

ようであった。



夜も更けて。


「謹慎中のはずだが…」


道長は肩を落として

座っている若者に、

穏やかに声をかけた。


若者は当然、伊周だ。


「謹慎中の身にお目通りを

お許しくださり、

ありがとうございます」


伊周はこれまでと違い、

丁寧に礼を述べる。


そんな甥の様子にため息をつき

道長は部屋に入った。


「院を脅し奉るために

矢を放ったのは弟にございます。

その責めは私が負いまする」


兄らしさを取り戻し

伊周は、そう言った。


「されど呪詛はしておりませぬ。

どうか…そのことをどうか

帝にお伝えくださいませ」


涙ながらに伊周は頭を下げた。


「なんとか内裏に戻れますよう

右大臣様の格別のお力を賜りたく

切に…切に、お願い申し上げる

ばかりにございます」


何度も頭を下げる甥の姿に

道長は心を動かされている。


確かに生意気で、

自分のことも軽んじて

あまつさえ兄、道兼のことを

呪詛しただろう、と

言いがかりをつけてきた伊周。


でも、幼い頃から知っている

甥なのだ。


「私も過酷なことは

望んでおらぬ」


伊周は希望を見出し、

道長を見た。


「されど…お決めになるのは

帝ゆえ」


「帝に私をお信じくださり

ますよう、何とぞ…何とぞ…」


伊周は涙声で何度も訴える。


「何とぞ…何とぞ…

お願い申し上げまする」


弟の行動は浅はかだったし

止められなかった自分に

非があることも伊周は

よく理解している。


しかし、呪詛はしていない…


誰かの嘘によって、

伊周の立場だけではなく

亡き道隆が作り上げた

中関白家そのものが

壊れようとしているのだ。


涙を流す伊周を見ていれば、

道長にもそこに偽りがないことは

充分、わかったはずだ。



当の帝も悩みながら

眠れぬ夜を過ごしていた。


「お上」


いるはずのない定子の声に

帝は振り返る。


「お上が恋しくて

来てしまいました」


かつて帝が昼間から

定子のもとに通っていたときと

同じように定子はそう言った。


嬉しくないはずはないが、

私情を抑えるように帝は


「なぜ内裏に上がれたのだ」


と、厳しい声で尋ねた。


「右大臣が手引きしてくれました」


伊周の訴えを聞いた道長は、

密かに定子を引き合わせて

帝が温情をかけてくれるよう

期待をかけたのだ。


定子は膝をつく。


「どうか兄と弟の罰を

軽くしてくださいませ。

お情けを…」


愛する后である、

定子が頭を下げる姿に

帝の胸は痛む…


が、帝はそれに答えることは

なかった。


苦しくないわけがない。


だが特別扱いなどをすれば

周りに示しがつかない。


そんな帝の表情を見て、

定子は自分がしていることは

帝を困らせているだけだ、と

悟ってしまった。


「下がります。

お健やかに…」


多くは語らず定子は背を向けた。


静かに去る定子…


「待て」


たまらず帝は引き止めると、

定子を抱きしめた。


許してやる、とも言えず…



行成が皆に告げる。


「謀反の罪は死罪であるが

罪一等を減じ遠流に処す。

藤原伊周を大宰府権師、

藤原隆家を出雲権守に任じ

配流いたす。

伊周、隆家に代わり

藤原道綱を中納言に、

藤原斉信を参議といたす」



安倍晴明が禹歩を踏む中、

道長は事の顛末を晴明に

相談していた。


「帝のご判断はこれでよいので

あろうか。

伊周、隆家は私の甥でもある。

子供の頃は屋敷の庭で

よく遊んでやった。

彼らがまこと女院様と

私を呪詛したのであろうか」


晴明は淡々と答える。


「そのようなこと

もうどうでもよいと存じます」


「ん?」


「大事なのは」


と、晴明は振り返る。


「いよいよ、あなた様の世になる

ということにございます。

あなた様には誰もかないませぬ」


「フッ…」


わざわざ世辞など…と、

道長は興味なさそうに

息を吐いた…。


そもそも道長は、

定子を手引きしてやってまで

帝の情けに期待したのだ。


死罪は免れた、

と言ってもそれ自体は

よくあることであり、

格別な配慮までは

かけてもらえなかった。


「年若き帝の激情さえ

抑えられぬというのに」


「そのうちお分かりに

なりましょう」


どこか楽しそうに

晴明は答える。


道長にとって大切なのは

自分のことよりも、

甥たちのことだ。


「伊周と隆家はこの先、

どうなると思うか?」


「隆家様はいずれあなた様の

強いお力となりまする」


「伊周は?」


「あなた様次第にございます」


晴明の従者、

須麻流が道長を見た。



「しばらく里に下がるがよい」


定子はききょうに暇を出そうとしていた。


「私は中宮様のおそばに

いとうございます」


「嫌がらせが高じて

そなたの身が危うく

なってはならぬ」


定子はききょうの身を

心配していた。


自分が特別に目をかけていた

ききょう…清少納言だけに

それを羨み憎んでいた者も多い。


「里に一度下がった方がよい。

必ずまた、呼び戻すゆえ」


「私の身なぞどうなっても

よろしいのでございます」


ききょうはそう訴えかける…


そんな2人の耳に


「俺はどこにも行かぬ!」


「兄上!」


騒動の発端となった

兄弟の荒々しい声が

聴こえてきた。


「大宰府など死んでも行くものか!」


「行くしかありませんよ、兄上!」


「黙れ!」


子供のように伊周は叫びながら

歩いてきた。


その後ろから困ったように

隆家がついてくる。


事件を起こしたのは、

隆家の子供じみた横暴だが

こうなると伊周のほうが

手がつけられなかった…



ききょうはまひろのところに

現状を伝えに来ていた。


「二条第から下がられたのですか?」


「でも心配で心配でなりませんの。

伊周様と隆家様が処分を

お受け入れにならないので

検非違使がお屋敷の周りを

囲んでいるそうにございます」


「えっ!」


「捕らえられてお屋敷を出る

伊周様と隆家様を見ようと

物見高い下々の者たちまでが

大勢加わっているそうで…」


ききょうは珍しく

激しく気落ちしている。


「中宮様が心配ですね」


「そうなんです」


ききょうはまひろを掴んだ。


「まひろ様一緒に行って

くださらない?」


「は?」



「下がれ、下がれ」


「下がれ。見せもんじゃない」


「下がれ」


屋敷の周りには険しい顔の

検非違使たちが警備を固め、

多くの民たちが集まってきていた。


そこへ2人の女が走ってきた。


まひろとききょうである。


2人は民に扮して、

粗末な着物を着ている。


「おい、集まれ」


「はっ」


検非違使たちが屋敷の中に

入っていく。


警備が手薄になったことを

確認するとききょうは

まひろを見て頷いた。



2人は木の枝を手に持つと

こっそりと庭へ忍び入る。


御簾の中から貴子が出てきて

力を落としたように

膝をついた。


遠くから実資の


「伊周と隆家を捕らえる」


という声が聴こえてくる。


「帝のお許しは出た。

門を突き破れ!

伊周、隆家を捕らえよ!」


「お〜っ!」


荒々しい声があたりに響く。



屋敷内では伊周が

爪を噛み怯えていた。


「兄上、もう諦めましょう」


隆家は声をかけるが

伊周は答えない。


しびれを切らしたように

隆家は立ち上がった。


「私は出雲に参ります」


「どこにも行かぬ…どこにも!」


諦めきれない伊周は

ブツブツつぶやく…


「母上、姉上、お別れにございます」


「隆家…」


門が壊れる音がする。


貴子は涙を流した。


隆家は母を安心させるべく

笑顔を見せると


「お健やかに」


明るく声をかけて、

出ていった。


「兄上、もう逃げられませぬ。

帝の命にお従いくださいませ」


定子は強く訴えるが


「どこにも行かぬ…

どこにも!」


伊周は屋敷内を逃げ回った。


やがて検非違使たちが

貴子を取り囲んだ。


「検非違使別当、

藤原実資にございます。

伊周殿をお迎えに上がりました」


実資は淡々と告げる。


御簾から出てきたのは

定子である。


ききょうは庭からそれを

心配そうに、見つめる。


さすがに実資も中宮である

定子に何かあっては一大事だ。


「中宮様を牛車にお移しまいらせ

屋敷内をくまなくあらためよ」


「はっ」


「こちらへ」


案内しようとする検非違使。


定子は隙をついて、

男が持っていた短刀を奪い

周囲に向けた。


「中宮様!

中宮様!何をなさいますか!」


実資が慌てて止めようとする。


「寄るな!」


定子は叫ぶ。


そして短刀を己に向けた。


実資も貴子も息を飲む。


ききょうはただ呆然と、

それを見つめる。


定子は髪を落とした。


ききょうもまひろも、

その気高い覚悟を

見届けるしかない。


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詮子の病が仮病であることは

視聴者からしてみたら

すぐにわかることであったが

倫子の立ち回りが見事すぎて、

怖いものがあった。


おそらくは倫子は

呪詛の騒ぎなどはすべて

詮子の自作自演だと気づいていた。


さらには夫である道長は

もともと優しい性格なので、

伊周や隆家の処分には

二の足を踏むだろうことも。


実際、道長は伊周から

嘆願されると無視できず

密かに定子を帝に会わせるなど、

可能な限り便宜は図ってやった。


しかしこういう道長の

優しい一面というのは、

権力争いをしていくうえで

決してプラスにはならない、と

倫子は思ったのだろう…


倫子は


「間違いがあってはいけないから

自分に任せてほしい」 


と訴え出た。


道長からしたら、

その間違いというのは

大騒ぎになってしまうこと…


のはずだったのだが、

倫子からしてみたら


「間違って穏便に済ませてしまう」


ことのほうが問題だったのだ。


なにせ道長の甥とはいえ、

伊周は政敵である。


その伊周が調子に乗って

いつまでも内裏にいると

こうして詮子は、

道長や倫子を困らせることを

また続けるだろう。


だが、伊周さえいなくなれば

道長は一番の政敵を退場させられるし

倫子も詮子に振り回されずに済む…


これぞ一石二鳥というか…


必要な冷酷な判断というか。


少なくとも事態が発覚しても、

べつに道長に不利になる、

ということはまったくないから

道長も倫子を怒るわけにもいかない。


自分に任された結果、

伊周が呪詛したことを発覚させた、

ただそれだけの話だ…


それが本当か嘘かなど、

どうでもいいこと。


それは安倍晴明も断言しており、

大切なことは道長が上に立つこと、

であるのだから倫子の判断は

晴明と同じ見解ということだ。


こういう妻は怖いかもしれないが、

非常に役に立つのは事実であり

前回


「夫をハゲさせない秘訣」


を学んだ倫子からしてみたら

右大臣の妻として、

必要なことをした、

ということだろう。



さて、伊周と隆家の処分だが…


「死罪は減じる」


とされてはいたものの、

それ自体はそもそも

この時代はそういうもので

死を忌み嫌っていたから

どんな大罪人でも、

伊周のような貴族なら

帝の温情によって

死罪だけは免れるのが

普通であった。


だから、死罪にならなかったことは

格別に配慮してくれた、

というわけではない。


大宰府への流罪、

というのはかなり重く

厳しい対応であったと

いえるだろう。


もっとも伊周は大宰権帥、

隆家は伊豆権守なので…


流罪とはいっても、

名目としては左遷のような形

ということになる。


「権」というのは「仮」みたいな

意味もあって、

実務に携わるかはともかく

大宰府のトップ、

あるいは出雲のトップには

据えときますよ、

ということ。


もちろん、中央からは

完全に外されるので

出世の道は絶たれたような

ものではあるけれども。


出雲なんかは上国なので

多少マシか…


ちなみに隆家は出雲に行かず

その前に留まってゴネてた

ようだが。


とはいえ隆家のほうは、

さすがに流罪そのものには

納得はしていたというか、

諦めてもいて、

態度そのものは伊周よりは

潔かった。


こればかりは伊周が

背負ってきたものを

考えたらやむを得ない

面はあるのだろう。


父、道隆が築いてきたものを

伊周と隆家は壊してしまった、

ということなのだから…


定子は刀を奪って何をするか、

と思ったら自ら剃髪してしまった。


実は定子はこのときに

子供を身ごもっていた…


「皇子を産め」


と、道隆と伊周にさんざん

言われてきてようやく

子供を宿したのに

この騒動であったのだから

相当、辛かったはずだ。


(なお、残念なことに

このときの子は、

皇子ではなかったのだが…

それでも期待はかけていただろう)


定子が髪を下ろす瞬間を

清少納言と紫式部が見た、

というのは当然、

フィクションなのだが、

この重い場面を2人が共有した…


このことは、

ドラマの2人には大きな

ポイントになっていくのでは

ないだろうか。



清少納言は中関白家の

輝かしい日々を残すべく

筆を取るのだろうし…


紫式部の源氏物語は、

最終的に男に振り回されない

強い女、というものを

描いたところでなぜか

打ち切りエンドのように

なっているのだが…


そうした物語の一端には

定子の強い生き様が、

反映されたとすれば

おかしな話でもない。


歴史上は仲が悪かった、

とされている清少納言と

本作の紫式部とは、

こうして友人同士として

描かれている。


もちろん狙いがあって

そう描いているはずなので

これからの2人の関係が

通説で語られているように

悪いものになっていくのか

それとも2人とも意図的に

なんらかの理由でそれを

外には演じていくのか…


これからの展開も

興味深いところだ。