光る君へ第16回あらすじ&感想前編 | NobunagAのブログ

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光る君へ

第16話「華の影」前編



「さわさん、待って!

何があったの?」


さわを追いかけてまひろが

問いかける。


「何があった…?

蜻蛉日記のお話のとき

私をのけ者にしたでしょ!」


まひろは言葉を失う。


確かにあのときの自分は

憧れの人に出会い舞い上がっていた。


「道綱様も…

私ではなくまひろ様が

欲しかったのです!」


まさか道綱が夜這いに

来ていたなどとは

まひろは知らない。


それにはかぶりを振るが…


「まひろ様は私の味方だと思って

信じていましたけれど

それも違いました。

私のことなんかどうでもいいのです!」


「そんな…」


「そうよ!

私は家ではどうでもいい子で

石山寺でもどうでもいい女だった」


さわは泣き出す。


「私なんか生きてるかいもない…

どうでもいい人なのです。

これ以上、私を惨めにさせないでください。

ほっといて!」


「さわ様!」


さわの従者が慌てて

後を追いかけていくのを

まひろは唇を噛んで見つめる

しかなかった。



「ただいま戻られました」


「お帰りなさいませ。

姫様の夕げもただいま…」


いとが出迎える。


「私はいいわ。

これお守り。いとのも」


言葉少ないまひろ。


「まあ…姫様、私にまで…

ありがとうございます」


まひろは黙って部屋へと戻り、

傘を外した。


私は日記を書くことで

己の悲しみを救いました。


そんな寧子の言葉が思い出され、

まひろは墨をすり始めた…。



年が明け…


正暦五(994)年。


都には雪が降り積もっている。


定子のいる登華殿は

華やかさを増し

積極的に若者たちを招いていた。


そこには道長の友人である

斉信、行成、公任らの姿がある。


伊周、定子の弟の隆家らも加わり

中関白家は帝との親密さを

殊更に見せつけた。


「お上、行成殿がお上に

献上したきものがあるとのことです」


伊周が声をかけると、

行成は緊張して固まる。


「行成殿、お上の御前に」


「はっ…」


定子に促される。


「フフ…ここは政務の場では

ございません。

もつとお楽に」


隆家が笑う。


行成は遠慮気味に


「古今和歌集の写しにございます」


と、己が写した書を差し出す。


「ああ…そなたが写したのか?」


一条天皇は行成の書く字の

見事さに感嘆の声をあげた。


「さようにございます」


帝は嬉しそうに定子にも

それを見せる。


「まあ、麗しき文字」


定子も行成の字の美しさに

驚きを隠せない。


「うん。見事である。

大切にしよう」


帝は笑顔になった。


「ありがたき幸せにございます」


「斉信殿は中宮様に

献上したきものがあると」


斉信が箱を開ける。


「越前からの鏡にございます」


「うれしいこと!」


定子は喜んだ。


「斉信殿は女子への贈り物に

慣れておられるのやも…」


伊周がからかうように述べる。


「そのようなことは

ございませぬ」


そんなやりとりを、

元々、斉信と旧知のききょうは

とぼけたことを…、

という顔で聞いている。


「皆、お上のよき友として

末永くおつきあいくださいませね」


臣下ではなく、友…


定子の言葉に3人は


「はっ」


と声を揃えた。


「さてお上、今日は何をして

遊びましょう」


畏まった空気を変えるように

定子は帝に声をかける。


「ん〜…定子に任せる」


定子はしばし考えこむ。


「少納言」


ききょうに声をかけた。


「はい」


「香炉峰の雪はいかがであろうか」


香炉峰の雪…


ききょうはしばらく考えを巡らせる。


立ち上がるききょう。


「御簾を」


侍女らが御簾を上げると

庭の雪が皆の眼前に広がる。


「どうぞ、お近くで」


帝と定子が進み出た。


「さすが中宮様。

見事な問いかけでした」


伊周は褒めるが、

隆家にはわからない。


「何のこと?」


近くにいる侍女に尋ねている。


「白楽天の詩でございますな」


公任も問いかけの意味を

理解している。


「香炉峰の雪は簾をかかげてみる」


「少納言、見事であった」


定子はききょうに声をかけた。


「中宮様のお問いかけに

お答えできホッといたしました。

いつもこのように参るかどうかは

分かりませぬが」


照れくさそうにききょうが

そう答えると定子は笑った。


「そうだわ、お上。

今日は雪遊びにいたしません?」


「雪遊びか」


「では雪の山を作りましょう」


伊周が帝にそう声をかける。


「幼い頃、一緒に作りましたね、

兄上」


定子は妹の頃に戻って、

伊周に微笑む。


「ええ。

さあ、どうぞお上も」


嬉しそうに先に進み出た

定子が足元の冷たさに驚き


「あっ」


と声をあげる。


「お履物を」


伊周が促すが帝は


「要らぬ」


と笑う。


「おお!」


雪を踏みしめると、

帝も楽しそうな顔を浮かべた。


「さあさあ、公任殿たちも

ご一緒に」


「はっ」


伊周に誘われて公任たちも

庭に降りた。



御門と定子、伊周は

雪山を作っている。


「これはまた随分と大きく

なりましたね」


道長の前では挑発するような

態度を取っていた伊周だが、

雪で遊んでいると子供の頃に

戻ったようで無邪気な

笑顔を見せている。


「まだまだだ!」


「まだまだですわ」


帝も定子も楽しそうだ。


「まだまだです!

この斉信、更にこの雪山を大き…」


斉信がかっこつけようと

立ち上がると


「ヒャッ!あっ!公任、何を!」


公任が笑いをこらえながら

斉信の顔に雪を当てた。


斉信は女子のような悲鳴をあげる。


さらに首筋に雪玉が当たる。


「ああっ!行成まで!」



何かを考えこんだ

道長が苦い顔をして歩いていると

そんな彼らの声が聴こえてくる。


「お上も中宮様も…」


「フフフ…雪玉を当てよう!」


伊周と帝が楽しそうに話している。


「中宮様までおやめください!」


道長が見ると斉信が

嬉しそうな顔をしながら

彼らと戯れている。


定子が雪玉を投げると、


「ああ、うれしゅうございます!

中宮様!」


男にぶつけられると、

抗議しているのに定子に

ぶつけられると、

心から嬉しそうな

悲鳴をあげる斉信。


友人らのみっともない姿に

道長は顔をしかめながら


「今日はやめておこう」


と踵を返した。


彼らが悪いわけでもないの

だろうけれども、

これではさすがに道長も

居心地が悪すぎるというもの…


「隆家様はお庭にお下りに

なりませんの?」


ききょうが尋ねると、

隆家は公家らしくなく

姿勢を崩して座りながら


「フッ…何が面白いのか分からぬ」


とぼやいた。


そんな様子が可愛かったのか


「まあ…」


ききょうは笑う。



昼間、作った雪玉を肴に

行成らは酒を飲んでいる。


「帝のお美しさが

今も目に浮かびます」


「お前、道長じゃなかったのか?」


斉信が突っ込んだ。


「道長様は、道長様。

今日は帝にみせられました」


「何だよ、それ」


意外と落ち着いて見ていたのは

公任であった。


「しかし、帝の御前で

伊周殿のあの直衣は許し難い」


直衣というのは貴族たちが着る

平服のことである。


公任らは正装ともいえる

束帯を身につけていたが

伊周は直衣のままで、

帝に参内しているのだ。


「帝がお許しになってるのだから

どうにもならぬが」


「関白家は皆、自信満々で

鼻につく」


彼らが知らぬ間に道長は

呆れて帰ってしまったのだが

公任が言うように、

3人は3人なりに中関白家の

様子をしっかりと観察していたのだ。


「俺にも娘がいたらな〜」


と、斉信はぼやいた。


「道長はいいよ。

その気になれば娘を入内させられる」


「今からでも間に合うかもしれぬぞ」


公任の言葉に


「そうか…頑張るか」


とつぶやいた。



その頃、土御門殿では

道長と倫子が彰子を寝かせながら

語り合っていた。


「彰子を入内させようなんて

お考えにならないでくださいね」


「案ずるな。

この子に帝の后は務まらぬ」


「それはわかりませんわ。

今はぼんやりとしてますけれど

そのうち化けるかもしれませぬ」


「うん…ぼんやりしているのは

俺に似たのだな」


「フフフフフ…」


「このままでよい。

このまま苦労なく育ってほしい」


これまで自身が入内することを

拒んできた倫子と、

娘が出来ても入内させたくない、と

公任らに語っていた道長である。


娘に帝の后などという

苦労をさせたくないのだ。


「殿のように心の優しい人に

育ちますように」


倫子は道長を見ると、

彰子に語りかけた。



定子の琴の音に合わせて

帝が笛を吹き伊周が

舞を披露している。


隆家はつまらなさそうに

酒を飲み道綱もお菓子に

夢中だ。


伊周は舞い終えると


「隆家、お前も舞え」


と命じた。


「私は遠慮いたします」


「舞え」


仕方なく隆家はききょうの

手にしていた扇を取る。


「あっ…」


立ち上がると隆家は


「タアハア、トヲリョロ」


派手に舞い始めた。


扇を道綱に、

そして伊周の顔の前に

差し出す。


意外と様になっており

定子も帝も演奏を始めた。


伊周はそれに付き合いながら

弟と舞う。


「あ…誰か来た」


隆家が足を止めた。


「母上」


詮子である。


詮子は険しい顔で皆を見る。


「邪魔をしたようだ」


「お待ちください」


詮子の兄でもある道隆が

声をかけた。


「女院様、どうぞこちらへ」


「さあ、どうぞ、どうぞ」


伊周もうながす。


円融院の死後、

詮子は史上初の女院の

称号を与えられた。


詮子は帝の隣に座る。


「お久しゅうございます、母上」


幼い頃から母が大好きだった

帝は嬉しそうである。


「女院様にはご機嫌麗しく

祝着至極に存じます」


定子も挨拶をするが、

詮子はそれを無視するように


「お上、先ほどの騒々しい舞は

何事でございますの?」


叱るような声音で言う。


帝は表情を暗くし、

皆がより静まり返る。


「ハハハ…

お上の笑みが消えて

しまわれましたよ」


伊周が空気を読まずに言う。


「伊周」


道隆が注意するが…


伊周は胸を張るように

立ち上がった。


「お上と中宮様の後宮は

これまでとは違う新しき後宮。

ここでは誰もが楽器を奏で

誰もが歌い、舞う。

お上との間の垣根を取り払い

誰もが語らうことができる。

これこそがお上がお望みになる

後宮の姿にございます」


詮子は冷たい目で帝を見た。


「どうか女院様にも

そのことをお分かりいただきたく…

お願い申し上げまする」


伊周と定子が頭を下げ、

道隆は満足そうに微笑むが…


詮子は黙ったままであった。



「後宮はかくあるべきと

女院様に説教したんだからな

みんな凍りついたよ」


道綱は思い出しながら

楽しそうにその出来事を

道長に教えてやっていた。


「あっ、そうだ!

この前、母の供をして

石山寺に行ったら

ついぞ見かけぬような

いい女がいたんだよ」


道長は興味なさそうに

政務を続けている。


「ま、ひ、ろ、って名なんだけど」


道長は固まる。


「忍びに行ったらその友と

間違ってしまって、

参った、参った…」


情けない声をあげる道綱。


どうやら夜這いは失敗したようだ。


安堵したかそれとも呆れたか…


わざわざ兄が同じ女に

興味を持ってしまう

おかしな縁に思わず


「はあ…」


道長は大きなため息をついた。



まひろは筆を取り、

手紙を書いていた。



「これをさわさんに」


「またでございますか?」


乙丸が驚きまひろを諭す。


「姫様、文を返してくるような方、

もうお忘れになった方が

よろしくはございませんか?」


「お願い」


「は…」


乙丸は渋々従った。


「では行ってまいります」



帝は定子の髪を撫でている。


見つめ合う2人…


口づけを交わそうとすると

足音が響いてきた。


「蔵人頭、俊賢にございます、

お上、ただいま弘徽殿より

火の手が上がりました。

急ぎここよりお移り

いただきたくお願い申し上げます」


帝は急ぎ立ち上がる。


定子は心配そうにその背を見る。


「また放火なのか?」


「恐らくは…」


帝は定子に駆け寄ると

退避を促す。


「定子、参ろう。

ここは危うい」


「はい」


帝は定子に着物を羽織らせると

立ち上がらせた。



翌日。


「先日は後涼殿、

昨夜は弘徽殿。

次は清涼殿でございましょうか」


貴子が心配そうに道隆に尋ねる。


「宮中の警護をより厳しくするよう

命じたゆえ、案ずるな」


「内裏の中に火付け人が

おるのでありましょうか。

よもや帝や中宮様を狙い奉る

ような者はおりますまい」


伊周が疑問を呈する。


「されど我が家への妬みが

帝や中宮様に向かっているのだと

したら…」


貴子は不安の声をあげる。


隆家はぼそりと言った。


「女院かもな」


道隆が思わず隆家を見た。


詮子とて叔母ではあるが、

道隆の中関白家とは

昔から不仲である。


「火付けを仕組んだ

張本人ですよ。

だって女院、ひどく

お怒りだったでしょう、昨日」


どこか楽しげに言う隆家。


貴子はあまりの恐ろしさに

愕然とした。


「中宮様が…女院様に妬まれるとは…」


「母上」


隆家の話はただ思いついたことを

述べているだけだ。


貴子を落ち着かせるように

伊周は母の背を優しく撫でた。


隆家は楽しそうに手を叩く。


「妬まれて結構では

ありませんか!

父上も姉上も兄上もようやく

妬まれる立場になられたの

ですから」


確かに隆家の話は

筋は通っているが…


「帝に危害が及ぶことを

女院がなさるとは思えぬが」


道隆もさすがにそこまでは

考えづらい。


「女院でなければ…

父上を恨んでいる人ですよ、

大勢いるでしょう」


名前を挙げればきりがないほどに

道隆の栄達は他の者からの

妬みは買っているだろう。


しかし、さすがに隆家の言い方は

品もなければ遠慮がなさすぎる。


伊周が叱った。


「口を慎め!隆家」


「兄上だって分かるだろ?

そのくらい」


隆家は負けじと言い返す。


「フッフフフフフ

ハハハハハハ…」


道隆は笑い出した。


隆家も真似るように笑う。


伊周と貴子は顔を見合わせた。


道隆はどこか満足げに

上を向く。


「ああ、光が強ければ

影は濃くなるというもの。

恨みの数だけ私たちが

輝いているということだな」


貴子と伊周の表情は冴えないが、

隆家は楽しそうだ。


「私たちが暗い顔をすれば

相手の思うつぼだ」


道隆は真顔になった。


「動じないのが肝心だ」


道隆は廊下に出たが、

ふと太陽の眩しさに

耐えきれず顔をしかめた。


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さわさんも癒やし枠の

一人であった。


そりゃそうだろう…


為時パパの妾の子、

とはいっても、

為時の娘ではないから

まひろとは血の繋がりはない。


けれども無邪気に

慕ってくれる姉妹のような、

親友のような…

そんな関係は観ていて

心地よかった…


だが、しかし!


道綱の兄貴がさわさんに

恥をかかせるから…!


…とはいえもっと、

切なかったのは道綱の

(バカ)兄貴のことだけでなく

憧れの蜻蛉日記の作者に

出会えたことで、

ウキウキしてまひろが

話し込んでしまっているとき…


さわは寂しい思いをしていたのだ。


が…これはまひろを責めるのも、

いくらなんでもさわはめんどくさ…


いや、まひろがかわいそう。


だってヲタなんだから

好きな作品の作者に

出会えたら狂喜乱舞なのは

当然なわけで…


でも、その趣味の世界というのは

さわにはわからないということだ…。



藤原隆家が登場したが、

放送前に役者の変更があった。


どこか荒ぶったところのある、

それでいて飄々とした

貴族らしくない若者像は

竜星涼さんにぴったりで

この配役で問題ないと思う。


隆家という人は伊周のように

道長にとっては因縁の相手に

なっていくのだが…


でも、隆家は貴族っぽくない

振る舞いを見てもわかるように

普通の公家とはまったく違う

感性の持ち主である。


道隆や伊周とは、

全然違うタイプの男へと

育っていくし、

隆家がいなかったら

もしかしたら今の日本は

なかったかも?


くらいの活躍もする。


ドラマのキーマンでもあるから

とくに後年の隆家には

要注目である。


決して味方なわけでもないが、

隆家の生涯だけに着目しても

かなりドラマチックである。



さて、「香炉峰の雪」が

実写化された!


と、平安時代ファンは

とても喜んだ回でもあった。


ききょう、清少納言の演技が

いつもながら素晴らしいのだが

定子役の高畑充希さんの、

帝の前では少女のようだが

清少納言の前ではキリッとした

ところを見せる演技も素敵である。



香炉峰の雪、とは

唐の詩人である白楽天の

漢詩の中にある一節で


「香炉峰の雪は簾をかかげて見る」


と書かれていることを

知っていた定子が、

女官たちへの謎かけのように

そのことを口にしたところ

清少納言は定子のその問いかけを

理解して瞬時に答えた、

というエピソードだ。


これは清少納言の頭の良さを

あらわす話だけにとどまらず、

当然ながら定子のほうにも

清少納言に問いかけるだけの

漢文の知識があった、

ということを示している。


まひろのような文字ヲタクなら

父親もヲタクなので、

家に漢詩などはたくさん

あったのだろうから

幼い頃から馴染んできた。


が、定子はそういうわけではない。


しかししっかりと教養として

高い知識を身につけていた。


家柄の良さから帝の后として

許婚にも近いような面も

あったかもしれないが、

定子はそれにあぐらを

かく人ではなかった。


帝の后に相応しい女性で

あるようにと幼い頃から

努力していたのだろう。


だからこそ難しい漢詩も

熟知していたわけだ。



この香炉峰の雪のエピソードだけを

見たら素敵な逸話なわけだが、

もちろんドラマなので

このやりとりには公任らも加わり、

ひとつの政治劇にもなっていた。


一見、公任らは帝のご機嫌取りに

行っていたようにも見えるのだが…


当然、道長はそう思ってしまい

苦い顔をして去ってしまった。


が、実は公任らは帝はもちろん、

それを支えている中関白家、

とくに跡取りとなるであろう

伊周の人となりを見定めに

来ていたことがわかる。


そして、公任は伊周の軽薄な

ところをすぐに見抜いていた。


斉信もおどけて立ち回っていたが

実はそうなのだろう。


行成だけは恋する乙女のように

なってしまったがw


3人とも後の道長を支える

有能な人物であって

その彼らの成長もこうして

描かれている。


「この時代の貴族が

雪合戦などするか!」


と突っ込んでいた

反省会民がいたが、

そういう無駄な知識の

ひけらかしは

実に恥ずかしい。


というのも制作陣は

そのことは当然わかっていたからだ。


ドラマなのであえてそれを

取り入れることによって、

若者たちと同じ目線を持った

新しい帝、というものを

描こうとした。


何度も言うがこれはドラマであり、

香炉峰の雪のエピソードは

定子と清少納言がお互いの

知識の深さに感動した、

という要は人物を見定めた

お話である。


そこに実は公任らも、

伊周の人柄を見定めにきていた、

と絡めたところが面白いのだ。


そもそも逸話に関しては

何が本当なのかなんて

わからないのだから、

こうしたオリジナルを加えて

どう描くかが見せ所である。


彼らは雪のなかで戯れている

まるで無邪気な子供のように

見せかけつつも、

あるいは権力に媚びる人間のように

思わせておきながら、

腹の中では別のことを考えている。


それこそが前半の大きな

ポイントだろう。


実は帝、一条天皇にしても

高い理想を持っており

単なる雪合戦で戯れて

喜んでいるだけの無能な若者ではない。


そのことは後編において

だんだんとわかってくる。