光る君へ第4回あらすじ&感想後編 | NobunagAのブログ

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光る君へ

第4回「五節の舞姫」後編




この年の8月、

師貞親王は帝となった。


花山天皇である。


そして藤原斉信の妹、

忯子が入内した。


女子好きなうえ、

変わった性癖の花山天皇は

忯子との初夜で、

手首を拘束するという

変わった夜を過ごす…



その頃、まひろの家では

12年ぶりに官職を得た

為時の祝いのうたげが

行われていた。


花山天皇は癖のある人物だが、

約束通りに為時のことは

本当に評価してくれていたのだ。


「ああ…

いや〜、長かった…」


と感慨深げに、

酒を飲み干す為時。


「宣孝殿には世話になった」


「何もしておらぬ。

ただ陰陽師のように

予言しただけじゃ。

焦らずとも師貞親王様が

即位されれば、

お前の道にも日が当たると

言うたであろう」


「ああ、そうであったな…」


「東宮様の指南役に

推挙してくださった

右大臣様にも

お礼を言うておけよ」


「分かっておる」


そんなやりとりを聞くと

まひろの表情は暗くなる。


「もう行くのか?」


「かわやじゃ」


と為時が立ち上がる。


まひろを見て微笑む宣孝…


まひろはぎこちなく笑った。


かわやへ行こうと

廊下に出た為時だが、

酔っ払ってよろけてしまい


「おっと…」


と、いとが抱きとめた。


為時はいとの手を握ると


「お前にも世話になった」


見つめる。


「殿…」


思わずときめく、いと…


「かわやじゃ」


あっさり為時は去っていった。


うたげが終わり、

月を見上げているまひろ。


太郎から惟規と改名した弟が


「また三郎のこと思ってんの?」


とからかう。


「今は父上のことを考えていたの」


「今宵の父上は随分、

ご機嫌だったな」


「あんなうれしそうなお顔、

何年ぶりかで見たわ」


とまひろは座る。


惟規も横に座った。


「小さい頃は父上のことが

大好きでよく遊んでもらって

いたのよ。

懐かしいわ」


まひろはあの「馬鹿」の

話を教えてくれた頃の

父を思い出していた。


「大丈夫?姉上、

いつもと違い過ぎだけど」


「人だからそういうこともあるのよ」


宣孝から学んだように

まひろは弟に返した。


「明日になればまた

父上に腹が立つわ。

きっと」



内裏では新しく天皇となった

花山天皇のもとで、

政治が行われている。


「近頃、民は銅銭を

使いたがらぬそうじゃが

何故じゃ?

関白の政が悪いからか?」


慌てて関白、頼忠が


「物の値が上がっておりますゆえ…」


と説明するが


「関白には聞いておらん。

そうなのか?」


花山天皇は側近らに聞く。


帝の乳母子である藤原惟成が


「長雨と日照り続きにて

米もよう実りませず。

今日買えたものが、

明日には同じ値では

買えぬありさまでございます」


と答えた。


帝は


「布一反を100文、

銅一斤を60文と定めよ」


と即座に命じた。


「物の値をお上がお決めになる

ということでございましょうか」


「そうだ。さすれば民も喜ぼう。

そして朕を尊ぼう」



しかしこれは大臣たちに

混乱を招いた。


「物の値打ちはおのずと

定まるようにするのが何より。

むやみに人の手が加われば

世の乱れのもととなります。

関白殿、なぜこのことわりを

お上に申し上げなかったのです」


とくに右大臣、兼家は

立腹している。


「わしの意見なぞ

聞いてはおらぬ」


いつも通り小さな声で頼忠は答えた。


帝の叔父、義懐がやってきて、


「帝の仰せであります。

よしなにお取り計らいなさるが

関白様、左大臣様、右大臣様の

お役目にございましょう」


と命じるように告げた。


「何じゃ、その言い方は」


兼家は憤るが義懐は続けた。


「ほかにもございます。

帝は本年の凶作に際し

進んで御自ら装束やお食事を減らし

天下に模範を示されるとのこと。

その旨を万民に宣べ伝えよ、

との叡慮にございます」



「関白様がしっかり

なさらぬゆえ、

義懐ごときが大きな顔を

するのでございます」


兼家は関白に当たり散らす。


「帝はやる気に満ちておいでだ。

誰の言葉もお聞きにならぬ」


「いやいや、いやいや…」


「まあまあ、まあまあ」


と、左大臣の源雅信が止めた。


娘に拒否されれば、

入内を諦めるような

のんびりした雅信である。


「まあ様子を見てまいりましょう」


兼家は苛立ったように、去った。


「右大臣は焦っておりますな」



道長ら若者たちは、

新しい天皇が即位したことで

浮ついている。


「妹君の忯子様が入内されて

斉信にもいよいよ好機が

巡ってきたな」


と、頼忠の息子である公任が言う。


「まあね」


「帝と忯子様の仲は

むつまじすぎて

お付きの女官らも

顔を赤くするほどとか」


「今のところ忯子に

首ったけらしいけど

そもそも帝の女子好きは

もはや病といってもよいからな。

いつどうなるか分からんよ」


と、斉信は落ち着いていた。


「早いところ偉くなって

おかねばな」


そんな公任と斉信のやりとりを

道長はぼんやり聴いている。


「やはり忯子様に

皇子を産んでいただかねば…

ですね」


と、行成。


「そうだな」


道長も口を開いた。


「ご寵愛は深いんだろ、

できるよ、そのうち」


「そんなのんきなことを

言ってていいのかよ。

忯子様に皇子ができれば

お前の甥の東宮はどうなるか

分かんないぞ」


公任は先のことも考えている。


詮子の件で子供ができるのが

幸せではないとわかっている

道長は


「毒を盛られるとか?」


と、つい言ってしまった。


皆が静まり返る。


「ごめん」


道長は頭を下げた。




雅信が帰宅すると


「お戻りなさいませ」


と倫子らが出迎えた。


「大変なことになった。

五節の舞に我が家からも

誰か舞姫を出さねばならぬ」


「まあ…」


五節の舞とは収穫を祝う

祭りのあとのうたげ。


豊明節会で未婚の舞姫たちが

舞をささげる神事である。


「他の姫はどちらの?」


妻の穆子が尋ねる。


「公卿では権大納言殿と

藤宰相殿も命じられた」


「茅子様と肇子様では

ありませんの!

でも私は嫌です」


と倫子は即座に拒否する。


「帝は今は弘徽殿の女御に

首ったけらしいが

即位の日も高御座の中に

女官を引き入れて

ことにおよ…」


言い淀みつつ続ける雅信。


「そのような帝のお目に

留まれば一大事じゃ。

代わりの姫を見つけねば…」


しばし考えると穆子が言った。


「おりますわよ」


倫子は首をかしげる。




「大丈夫でございます」


選ばれたのはまひろだ。


「ごめんなさいね」


と倫子は謝る。


「私は倫子様のように

殿方から文がたくさん来るような

女子ではございません。

ですので高貴なお方のお目に

留まることなぞありえません。

ご安心くださいませ」


何も気にしてない様子で

まひろはあっさり答えた。


「変な自信がおありなのね」


と、さすがに倫子が驚く。


「はい。お目に留まらない

自信はありますの」


「ありがとうまひろさん、

一生恩に着るわ」


「そんな…大げさですよ」


二人は笑いあった。


これまで距離があるように感じた

憧れの倫子のために何か

出来るならまひろにとっては

大きな喜びだっただろう。



気楽に引き受けたまひろであったが

これは重い役目である。


「違います、まひろ様!逆!」


「え…あっ、私?」


「回り方が逆、同じところで

間違えない!」


「皆さん、ごめんなさい」


「戻ってください。

もう一度、初めから」


連日、まひろの稽古は続いた。




舞姫らは3日前に宮中に入り

身を清めて本番に臨んだ。


「おまたせいたしました、

こちらへどうぞ」


「はい」



花山天皇を始め、

まひろの父、為時も含めて

多くの貴族らが

舞台を見つめている。


もちろんそこには、

道隆、道兼、道長の

兄弟らも座っている。



美しく着飾ったまひろは

他の舞姫たちと共に、

舞台へと歩いていった。


皆がその美しい姿に見とれ、

宣孝もまひろのほうを見て

微笑んでいた。


道長は…寝ている…


笏拍子に合わせて

舞姫たちが美しい舞を

披露し始める。


舞いながらふと見ると、

眠りこけている、

一人の男がいる…


三郎?


そして、その三郎を

起こそうと隣で兄の道兼が

三郎を小突いている。


ミチカネ…


まひろの顔が固まる。


脳裏にあの血に染まった

ミチカネの顔が浮かび、

母の死が思い出される。


ミチカネという人殺しの隣に

三郎がいる。


なぜ?


なぜなの?


舞いながらまひろは

思案し続けていた。


時折、目を開ける道長だが

舞にほとんど興味がないのか

まひろに気づくことなく、

また寝てしまう。


舞は無事に終わった。



舞台を出ると茅子が


「左にいらした藤原家の

3兄弟、目立ってたわね」


と気になっているようだ。


肇子が


「やっぱり太郎君の道隆様が

美しかったわ〜」


と答えると茅子は


「道兼様も思いの外、

いいと思うわ」


と褒めた。


ミチカネ…その名前に、

まひろはまた固まる。


「道兼様の隣が、

三郎君の道長様よね」


「そうよ」


「ずっと居眠りしてらしたわね」


と茅子が呆れる。


三郎らしい…、のだが、

まひろはそれどころではなかった。


「あの…

あのお三人は右大臣家の

道隆様、道兼様…

道長様なの?」


まひろは、あまりの衝撃に、

残酷すぎる現実に、

その場に倒れ込んでしまった…。


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父の出世を嬉しいと思いつつ

葛藤もあるまひろに対して

べつにこういうときは

喜んでやればいいじゃないか、と

微笑んで見せた宣孝は、

やはりいい男である…


まひろから見たら、

父親のような年齢だろうが

こういう宣孝を見てまひろも

弟に


「父上のことを考えていた。

昔は父上が大好きだった。

人だからそういうこともあるのよ」


と素直に言えるようになれた。



為時といとさんのロマンスは

どうなるか知らないがw



花山天皇は、

突然みんなの冠をとる、

つまりはパンツ脱がしを

やるような貴公子ならぬ

奇行子ではあるが…


入内した斉信に妹にも

いきなり手を拘束しての

プレーをし始めるという

ちょっと大河ドラマとしては

ここまでヤッていいの?

な感じのお人なのだが…


為時の話はあれでも

かなり実になってはいたのか

政治に関しては自分なりの

理想は持っているようで…


民があまり銅銭を使わなかった、

というのは記録にも残っており

物の値段が定まらない、

というのはこの時代では

問題になっていたようだ。


それに対して花山天皇は

自分が、ひいては国が

物の値段の基準を作れば

安定すると考えている。


これはひとつ間違うと

自由競争を妨げるのだが

まず「金」というものに

揺るがぬ価値を与える意味で

面白い提案でもあったと思う。


花山天皇という人は、

おそらく奇妙な行動は

目立つけれども、

実力そのものはある

アーティスト的な人なのでは

ないだろうか。


しかし、当然ながら

こうして帝が政治に口を出すのを

大臣たちは嫌うものだ…


現代でも天皇は政治と

切り離されているのを見ればわかる…



ただ、父親たちがこうして

帝に振り回されつつ

権力争いをしているなかでも

息子世代はあくまで平和だ。


妹が帝に嫁いでチャンスを得た

斉信に対しては、

関白の息子である公任のほうから

この好機を逃すなよ、と

アドバイスすらしている。


若者たちはこうして

励まし合っているあたりは

まだ希望がそこにはある…

という感じか。


彼らの友人関係がこのまま

平和に続いてほしいと思う。



花山天皇は斉信の妹だけに

とどまらずあらゆる女性に

手を出しているようで、

五節の舞姫という大役も

帝の目に留まれば、

ひどいことをされかねない…


という緊張感をはらんだ

大役となった。


ここで倫子さまではなく、

まひろの名前を出す

穆子もなかなか怖いのだが…


しかしまひろにとっては、

自分がさほどモテるとは

思ってもおらず


(中の人が吉高由里子だから

可愛いのだが)


倫子さまのお役に立てるなら

喜んで!とうれしそうだった。


これを機に倫子さまとまひろは

これまでよりも親しく

なれそうな気もするし、

良かったのではないか。


それにしても


「高貴な方のお目に留まらない

自信があります!」


は、前作どうする家康の


「私には負ける自信がある!」


を彷彿とさせたw



肝心の道長はせっかく

まひろが美しく着飾り

舞っているのに、

ひたすら居眠り…


宣孝があの場にいたけれども、

つまりは宣孝は道長のことを

とっくに知っていたはずで、

あの街の中で道長を

まひろから引き離したのも

やはりまひろを危険に

晒したくなかったのだ、

ということがわかる。


しかし舞姫に抜擢されたことで、

ついにまひろは知ってしまった。


あの三郎が自分よりずっと

高貴な身分の人だったこと。


だが何よりも、

ミチカネはやはり

父が世話になっている

右大臣家の息子であり…


なおかつ三郎の兄だ、

ということ。


来週は


「怒らない道長」


が、道兼に対して

激怒しているシーンが

描かれるようなので、

また楽しみである。



この第4話の視聴率が

また下がってしまったとかで

あれこれ言われているが、

個人的には充分面白く

ワクワクするドラマだと思う。


こういう形でまひろが、

真実を知るというのは

なかなか想像がつかない

展開であるし…


元々、紫式部の生涯そのものが

謎に包まれているのだから

全てが新鮮でいい。


「自分の知っている、

決まった歴史だけが観たいのだ!

知っているのを観ると

安心できるんだ!!!」


という古い人達は去年も暴れていたが、

本作はそれこそそういう層には

向いていないのだろう。


去年以上に。


水戸黄門的な決まった展開を

やってくれるわけではないから

そこが読めなくて良いのだが。



花山天皇の描き方も面白い。


単なるエロい奇人変人ではなく、

持っている才能が読みきれない

深さを感じさせてくれる。



去年には去年の良さが、

今年には今年の良さがある。