相続登記の義務化、所有権放棄を認める所有者不明土地対策は… | 廣田信子のブログ

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こんにちは! 廣田信子です。

 

昨年に引き続き、

今年も、所有者不明土地対策が進みそうです。

 

所有者不明の土地は、現在、

九州の面積を上回る410万ヘクタールあると言われます。

 

相続が生じても登記がされないことが原因で、

それが何代も続いているものもあるのです。

 

土地所有者が不明で管理が放棄されていると、

環境悪化を招き、地域の災害リスクを高めます。

 

また、公共事業のために用地買収の必要が生じた場合も、

災害復興事業を進める場合も、

もちろん、民間の土地取り引きでも、

 

所有者の検索と確認に、多大な時間と費用と労力が必要になり、

事業の妨げになっています。

 

2、3代前の所有者登記のまま放置されただけでも、

あっという間に関係者が数十人にも及ぶことがあります。

 

所有者が不明なことによって生じる損害は、

今後20年で6兆円に上るとの試算もあります。

 

事業が妨げられることによる損害、

所有者探すのに要するコスト、

税の滞納等を合計したものです。

 

こういった現状に対応するために、

 

昨年(令和元年)6月1日に

「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」

が全面施行されました。

 

この法律では、下記、3つの仕組みがつくられました。

 

(1)所有者不明の土地を円滑に利用できる仕組みしくみ

 

所有者不明で、

利用に反対する権利者がおらず、かつ建築物がない土地

に関して

 

土地収用法の特例として、

収用委員会による審査手続省略が可となり、

権利取得採決・明渡採決が一本化。

 

収用委員会に代わって

都道府県知事が裁定できるようになりました。

 

これによって、

収容手続に要する時間が2/3に短縮されました。

 

また、同様の土地に関して、

都道府県知事が公益性を確認した

公園、緑地、広場、駐車場等の「地域福祉増進事業」については、

 

一定期間公告しても、

名乗り出る人がおらす、意義の申し立てがない場合は、

 

都道府県知事が、

上限10年間の利用権を設定できることとなりました。

 

これらの事業を行おうとするNPOや民間事業者に

実施に要する費用の一部を支援することも考えられていて、

10年間で100件の実施を目標としています。

 

 

(2)所有者の探索を合理化する仕組み

 

土地所有者の探索のために必要な公的情報

(固定資産税台帳、地籍調査票等)を、

行政機関が利用できる制度が創設されました。

 

また、

長期間、相続登記未了土地である旨を登記に付記し、

法定相続人に登記手続を直接促すことができる等

不動産登記法の特例が設けられました。

 

 

(3)所有者不明土地を適切に管理する仕組み

 

民法は、利害関係人又は検察官にのみ、

財産管理人の選任請求を認めていますが、

 

不法投棄や雑草の繁茂等により

所有者不明土地が周辺に悪影響を与えている場合は、

 

国の行政機関の長又は地方公共団体の長が、

家庭裁判所に対して、

財産管理人の選任を請求できるようになりました。

 

 

改めて、法律の内容を整理してみて…

 

進歩ではあるけど、

これだけでは、なかなか、

膨大な所有者不明土地の解消は進まないだろうな…と、

当然、思われると思います。

 

ですから、

法制審議会(法相の諮問機関)の所有者不明土地を議論する部会で

引き続き検討が行われています。

 

昨年末の12月3日、

この部会が中間試案をまとめたと報道されました。

 

試案の主な内容は…

 

(1)相続登記の義務化

 

これ以上、所有者不明の土地をつくらないために、

誰が相続したかが明確になるよう、

土地所有者に登記を義務付ける。

 

土地所有者が住所を変える場合は、

住所変更の登記も義務化する。

 

登記官が登記漏れを確認する仕組をつくる。

 

 

(2)土地所有権の放棄を認める

 

今は、土地所有権の放棄は認められていないが、

担保が設定されていないなど一定の要件を満たせば、

個人に限って放棄ができるようにする。

 

 

(3)遺産分割協議の期限を設定する

 

遺産分割が10年以上行われない場合は、

法定割合に応じて財産を分割できるようにする。

 

等がまとめられています。

パブリックコメントを経て、最終報告が夏にはまとめる予定で、

秋の臨時国会に提出されると言います。

 

 

まだ建物がない土地という不動産が対象ですが、

 

・相続登記の義務化

・所有権放棄を認める

 

という考え方は、

今後マンションにとっても必要になってくることだと思います。

 

年末、バタバタしていて、

新聞報道を見ても、

頭の中を整理できていなかったので、

まとめてみました。

 

今後に注目していきたいと思います。

 

 

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