「絆」という字の持つ2つの意味 | 廣田信子のブログ

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マンションコミュニティ研究会、MSC㈱代表廣田信子より
日々のマンション生活やお仕事に、また人生にちょっとプラスになるストーリーをお届けしています。
一人ひとりが自分らしく活躍しながら、力を合わせることで豊かに暮らす、新しいコミュニティ型社会を目指して・・・

こんにちは! 廣田信子です。

 

みなさん、9月1日の防災の日は、

どのように過ごされましたか?

 

防災には、ご近所の助け合いの力が不可欠で、

そのためには、普段から良好なコミュニティ、

人と人とのつながりをつくっておくことが重要。

 

高齢者が安心して暮らせる環境をつくるためにも、

円滑な合意形成のためにも、コミュニティの力が必要。

 

そのことに、

異論がある人は、ほとんどいないのでは…と思います。

 

私は、防災の日、

コミュニティの重要性を

広くマンション住民の方に知って頂く趣旨の

講演、パネルディスカッションの場にいました。

 

コミュニティの大切さ、

人と人がつながることの重要性は、

きっと皆さんの心に届いたはず…と思っています。

 

でも、それが、

必ずしも、各人の行動に結びつかないことも

これまでの経験でわかっています。

 

みんな、理屈では「その通り」だと思っても、

必ずしも行動につながらないのは、

 

コミュニティの良さだけが強調されることに、

心のどこかで抵抗があるからではないか…

と私は思っています。

 

 

ご近所の人と人との結びつきが強いことは、

心強い反面、

自由を束縛される、わずらわしいと感じる

側面もあったはずです。

 

田舎の濃い人間関係の中で、

自分の行動を規制されるのが嫌で

都会に出てきたという方もいるでしょう。

 

賃貸団地や社宅住まいで、

すべての情報が筒ぬけで自由がない。

風邪を引いてもお掃除当番を休めない。

 

そんな暮らしから脱出するために、

 

鍵ひとつで、お隣との煩わしさもなく、

自由に暮らせることが「売り」のマンションに、

人は心引かれたのです。

 

でも、人間関係が希薄ゆえの問題や不安が、

高齢化と共に議論されるようになり、

 

あらためて、今、コミュニティの大切さが、

語られるようになっているのだと思います。

 

ご近所、マンション内の

人と人との繋がりづくりを、

あまりきれいごとだけで語ると、

 

人はどこかで、「そうはいっても…」という

抵抗感を持つのではないかと感じています。

 

大きな災害があると、

私たちは人と人との絆の大切さを実感します。

 

マンションコミュニティ研究会でも、

東日本大震災後、いち早く、被災地の方をお呼びし、

 

フォーラム『震災から育む新しい「絆」』

http://www.mckhug2.com/topics_20110623.html

を開催し、

人と人とのつながりの大切さを新ためて認識しました。

 

でも、そのときに、すごくク―ルな友人が、

 

「きすな」っていうことば本当はきらいなのよね。

 

非常時では、実感するのだろうけど、

なんか、普段の生活の中で使うと、ちょっとうさんくさい。

つながりの濃さはいいことばかりじゃないでしょう。

 

…と言ったことをよく覚えています。

 

私は、その時、自分も被災者の一人でもあったので、

「絆」に、素直に感動していましたが、

 

彼女の言葉にハッとして、

そのことが、ずっと気になっていました。

 

最近になって、

「絆」という文字が持つ、深い意味を知りました。

 

「きずな」は、

人と人との断ち切ることができない強いつながり

 

それは、人に、「自分は一人ではない」と感じさせ、

そこに自分が存在していいんだという承認を与えてくれるもの

 

というプラスの意味に捉えますが、

 

 

もう一つ、本来の意味は、

 

「動物等をつなぎとめる綱」から来た、

自由を束縛するもの、人を束縛する義理人情

 

というような意味もあるのです。

 

「絆」は「ほだし」とも読み、

義理人情に「ほだされる」は「絆される」と書きます。

というと、なるほどと思います。

 

もともと、

「縛られる」「自由がない状態」を表していた「絆」は、

だからこそ生まれる「強いつながり」を表す言葉と、

なっていったのです。

 

昔から、

自由がない、縛られることと、

深く心がつながった関係は、

表裏一体だったんです。

 

「絆」という言葉は、

美しいだけの言葉じゃなかったんです。

 

先人たちは、

本質がよくわかっていたのだと改めて思います。

 

8月21日記事、

『「豊かさ」がもたらす「自由」な社会の光と影』 ↓

https://ameblo.jp/nobuko-hirota/entry-12509720843.html

 

で書いたように、豊かになった社会では、

「自由」は、やはり個人にとって大きな価値なのです。

 

でも、同時に、自由と自由がぶつからないように、

それぞれが、

少し相手の身になって譲る、

自分の時間を少し誰かのために使う

ということで、

より豊かで安心できる環境で暮らせる…

 

だから、

コミュニティや人とのつながりは大事なのだ。

 

そう思った方が、

人は負担なく動けるのではないか…と。

 

そもそも、分譲マンションは、

管理組合と言う組織に属して、

みんなで話し合って管理をしていかなければならない

ということが最初から盛り込まれている居住形態なのです。

 

だからこそ、

その中で、自分らしく暮らしながらも、

 

相手の立場を考えるお互い様の心や、

自分もこのコミュニティの一員としての役割があることを、

学んでいく機会をもらっているのです。

 

そんなマンションだからこそ、

「絆」の持つ、裏の意味も、表の意味も

今の時代に合った形で、内在させつつ、

新しいつながりの形で、安心を生み出していけるはず。

 

そのことを、パネルディスカッションの最後で

お伝えしました。

 

「コミュニティ」「人のつながり」の意味は、

理屈でなく、心から腑に落ちて

初めて行動につながるものですから。

 

 

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