戒名に込められた意味 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

永井努さん。

CGとVFXを中心にアニメやゲームなどの映像制作を手掛けてきた。

山と釣りと酒をこよなく愛した。

何より仲間を大切にした。

誰からも愛された男が突然、この世を去った。

今年2月7日。享年62だった。

永井努さんを偲ぶ会の進行役を務めた。

 

会場には、永井さんの知人友人が集まり、故人を偲んだ。

86歳になる母の姿もあった。

親孝行な息子は、毎週水曜日の昼どきに、母に電話をしてきた。

亡くなった2月7日も水曜日だった。

電話がないことを訝しんでいたら、警察から身元確認の電話が入り、

少なからず驚いた。

女手一つで努さんを育ててきた母は、逆縁を悲しんだ。

 

だが、戒名を見たとき、少し安堵したという。

「照峰努忠信士」。

映像の仕事をしていたことから「照り映える」。

山が好きだったので「峰」。

朝日夕日に照り映える山々の清々しい美しさを故人の面影に

投影してもらえたらという思いがこめられている。

「努忠」とは、故人の名を刻み、真心を尽くして努め励んできた

故人の人生の歩み方を想ってつけられた。

僧侶から、この戒名の説明を受けたとき、

母は、

息子の生きた証が戒名に込められているように思えた。

息子の生涯が報われたような気がした。