「あなたの考えはすべての出来事、存在をあるがままに前向きに肯定し、受け入れることです。それによって人間は、重苦しい陰の世界から解放され、軽やかになり、また、時間は前後関係を断ち放たれて、その時、その場が異様に明るく感じられます。この考えをあなたは見事に一言で言い表しています。すなわち、『これでいいのだ』と。
漫画家赤塚不二夫さんの告別式が行われた2008年8月7日。
そこで述べたタレントのタモリさんの弔辞だ。
タモリさんは、「これでいいのだ」という境地について、見事に説明している。すべての事態をあるがままに受け入れることによって、「過去」や「未来」を離れた「現在」に意識がフォーカスされる。
そのことによって、いまの瞬間が輝きを帯び、過去や未来に起因する無駄な悩みがなくなって、目の前にある幸せを感じられるようになる。
「これでいいのだ」は、天才漫画家・赤塚不二夫さんの人生を貫く最も重要な価値観だった。
「バカボン」とは仏教用語で釈迦の敬称。
サンスクリット語の「Bhagavan(バガヴァーン)」に由来する。
バカボンのパパの言葉「これでいいのだ」は”あるがまま” “ありのままを受け入れる”という仏教の悟りの境地が表されている、
「これでいいのだ」という言葉には、起こったことを前向きに解釈する姿勢がある。
ちなみに、『おでかけですか』と声をかけてくる「レレレのおじさん」についても、釈迦の弟子である「チューラパンタカ」がモデルになっているといわれている。
自分の愚かさに悩むチューラパンタカに、釈迦は『得意なものは何だ?』と問いかける。チューラパンタカは『掃除が得意です』と答える。そこで、釈迦はチューラパンタカに一本のほうきを渡し、『塵を払わん 垢を除かん』と唱え掃除をしなさいと説く。
チューラパンタカは釈迦の言う通り、その言葉を唱えながら来る日も来る日も掃除を続ける。そのような日々が続き、数十年後、「真に払い除くべきものは、実は自分の心の中の塵なのだ』と気づく。
ギャグとナンセンス、破天荒に見えた赤塚不二夫さん。
実は、仏教に精通していたようだ。
それにしても「これでいいのだ!」は魔法のことば。
納得いかないこと、理不尽なこと、どんなことが起ころうと、
このことばを口にすれば、
すべてを受け入れ前を向くことが出来るのだ!