考えてみれば、将棋との付き合いも60年近くになる。
人見知りで、引っ込み思案のボクは、
はじめのうちは一人で将棋を楽しんでいた。
架空の棋士を作り上げ、リーグ戦やトーナメント戦を開き、
一人で駒を動かし悦に入っていた。
そのうち毎週のように将棋道場に通い出し、
初対面の人と指しながら、いろんな感情を学んでいった気がする。
負けた悔しさ、逆転勝利の喜び、情熱と実力が伴わないもどかしさ、
どう指していいか迷う心、負けたくないあきらめたくない気持ち…
大人の寺子屋~次世代継承塾は、将棋棋士の高橋和さんを迎えた。
高橋さんは、子どもたちに教えることが楽ししくて仕方ない。
子どもたちが、勝って喜び、負けて悔しがる感情を露わにする様子を見ていると嬉しくなる。
自分が女流プロとして対局していたときは、ナンバーワンになれなかったが、いまは教えるプロとしてオンリーワンを目指す。
強くなることを教えることには、あまり興味がない。
礼に始まり礼に終わる振る舞い、駒の並べ方片づけ方、感情を豊かにしていくこと…などを将棋を通して伝えていきたいと思っている。
将棋は、結果責任はすべて自分にある。自分の失敗から逃げない。
弱い自分を認め、他人のせいにしない。
将棋には、人間力を磨く要素がいっぱいなのだ。
みなさんの感想から。心が動いたこと。
●人は経験の中でしか育たない。
●褒めるときはみんなの前で。注意するときは、個別に。
●1を100にする人は多いが、0を1にする。
●将棋の難しさより楽しさを知れた。
●白か黒しかない勝負の世界。
●「あきらめる」という言葉は高橋さんの辞書にない。