本気で話す 本気で聴く | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

「嬉しいことばが自分を変える」重版を記念して、

隆祥館書店の『作家さんとの集い』のゲストに招かれた。

個人で呼ばれるのは、3回目。

佐高信さん、堤未果さん、長谷川義史さんのときも、押し掛け司会を買って出たこともある。

店主の二村知子さんとは、NHKラジオに出演してもらって以来10年の付き合いお互いのことがよくわかっているから、気安く話せる。

 

コロナ禍で、様々な分断が感じられる昨今、

時代は、ことばもないがしろにしているような気がする。

ひとつのことばで頭が下がり、ひとつのことばでいがみ合う。

ことばは諸 刃の剣。武器にもなるし楽器にもなる。

伝えたつもりで伝わっていない可哀想なことばの何と多 いことか。

「自分が口にしたことばが、自分や周りの人々の未来を作る」。

そのことを意識して、相手のことを、よく考えて、その都度、ことばを丁寧に取り扱うようにしないと、ことばは伝わらない。それも本気で。

「本気で話す 本気で聴く」というテーマで、気合いを込めて話した。

聴き手役の二村さんも、シンクロ時代の体験や、書店のエピソードなどを話してくれた。

 

ボクの本気度が伝わったようだ。感想も嬉しいことばが続々。

●すべてが具体的、すべてが上下関係なし、会場全体が温かく安心できる空気に包まれました。

●アナウンサーだから声がお綺麗であることは予測していいましたが、オペラの歌手かと思える深く響く声にお話の内容だけでなく声のすばらしさにも感動しました。リアルで参加してよかったです。

●村上さんのおことばや、エピソードの数々を〝本気で〟聴かせていただき、〝本気で〟心にささりました。

●すべてに「愛」があるか、ないかが何より大切なこと。

●人に対しても、自分に対しても温もりのある言葉を使えるように一歩ずつ進んでいきたいです。

 

会場からも真摯な質問が出た。

●自分の投げたことばのボールを相手が取り損ねたときどうしたらいいのか→まず、簡単には通じないことを肝に銘じる。どんなことばのボールを投げたらいいのか、じっくり時間をかけてたまをこねる。一球ごとが真剣勝負。投げ終わったあと「ご満足いただけましたか」「この説明でわかっていただけましたか」と確認することも大事。

●うつ病体験の青年から「元氣のないときにカラ元氣は出せない。自分も他人も許す余裕もない。そんなときどうしたらいいのか」と問われ、ムラカミ絶句。ことばが出なくなった。安易な受け答えは出来ない考え込んでいるこの空白も、本氣の現れと受け止めてもらえただろうか…。

青年は、「筋トレに打ち込んだことでうつ病を乗り越えられた」と述懐。

1つのことにこだわらず氣を晴らすことが出来たときに、1つのきっかけがあるのかもしれない。

 

二村さん自身は、「あんなに生き生きした姿は初めて見た」と言われたそうだ。「聴き手と話し手を超えた二人の信頼関係も伝わり、温かいひとときでした」とまで言ってもらえたそうだ。

以下は、その二村さんの感想。

村上さんの一回、一回、本気の真剣勝負で伝えるために、自分を駆り立てているというその熱意ある話を聴いて、シンクロ時代を思い出しました。本気モードが、ビシビシ伝わってきました!

また、言葉で、思いを伝えるためには、「すごい」「さすが」だけではなくどのように良かったのか、具体的に伝えるには、語彙が多いほど多様性に富むと話されました。村上さんは、そのためには、やはり「読書」が大事だという話もして下さいました。

そこで、隆祥館書店の常連さんで、言葉の研究をされ、言葉に関係する本すべてに関心を持ち、辞書から表現の仕方の本まで購入して下さっていた亡き"斎藤一洲さん"のことを思い出しました。

一洲さんは、ほぼ毎日のように来て下さり、来る日も、来る日も、二人で、言葉についての議論を、重ねるうちに、言葉と人格についての定義のようなものを書いて下さったのです。

それがあまりにも的を射ていたので、POPにしたい考え、POP用に書き直していただき、隆祥館書店の言葉関係の本を並べているところに貼っています。

一洲さんは、2016年、今から6年前に、91歳で、亡くなられましたが、頂いた言葉は私の中で生き続けているのです。

そのPOPの言葉をイベントでご紹介させていただきました。

●言葉は人そのものである。

●備わる言葉は人格を司り、発する言葉は、それを表す。

●向ける言葉は相手の心を動かし、己の人柄を伝える。

●人の思考能力と行動様式は、当人が日常用いる言葉の数とその品格を超えることはできない。

●社交の広さと深さは、当人が常日頃用いる言葉の数と語意の理解度及びその品格に正比例する。

 

二村さんには、インタ-ネットテレビシャナナTV「縁たびゅう」に

6月6日~と20日~に出演していただく。