伝承と復元 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

大人の寺子屋を始めて以来、

日本文化の伝承は、ボクのテーマになっている。

そんなボクにぴったりのイベントに参加してきた。

銀座・三笠会館で「日本の美しい布と染色1400年~工芸の伝承と復元」。企画したのは、富山の老舗呉服店の「きものブティックあおき」。

2日間にわたるトークショーの案内役を仰せつかった。

会場には、ところせましと「美しい布」が飾られている。

草木で染めた古代布の復元は、平安時代から抜け出て、現代に運ばれてきたよう。まばゆいばかりの当時の色が復元されている。

見ていると、気持ちが華やいでくる。

 

初日は、城端蒔絵の十六代、小原治五右衛門さんと西陣織の老舗「細尾」会長の細尾真生さんを交えての鼎談。

城端蒔絵の十六代小原治五右衛門さん。

安土桃山時代の天正3(1575)年から継承されてきた

城端蒔絵の十六代目。当年取って43歳。

斬新な作品を作るだけでなく、文化財保存修復にも力を尽くしている。

伝統文化継承に光明を感じる存在だ。

流ちょうな口調で、スライド使いながら

「城端蒔絵」の説明をしてくれる。

ことばに無駄がない。話に具体がある。先祖代々に詳しい。

肩書は「城端」というくらいだから、受け継いだ伝統に愛と誇りがある。

 

つい先日、城端は3年ぶりの曳山祭りで賑わった(5月4日5日)

城端塗の豪華絢爛な6基の曳山が、獅子舞、神輿とともに、城端の旧市街を曳き回される。その装飾の復元や修復にもあたってきた。

十六代小原治五右衛門さんは、囃子方・唄方の一員として、祭りにも参加している。

この日も横笛を用意してきて、祭り囃子の一節を披露してくれた。

彼の中で、伝統は過去のものでない。

彼の心の中で、身体の中で、今に息づいている。

温故知新を体現している。

 

十六代小原治五右衛門さんには、12月2日の「大人の寺子屋」にも来ていただくことにしている。

(この項、つづく)

 

十六代小原治五右衛門さんと

 

右手が、細尾真生さん