西宮市にある仁川学院小学校の先生方の講習会に行ってきた。
教育基本法によると、教育の目的は「人格の完成」と規定してある。仁川学院は、聖フランシスコの人格完成を目的とした。
聖フランシスコの人格は古来「和と善」で表現されてきたので、「和と善」が建学の精神と定められた。校門にも「和と善」という文字が刻まれている。
すべての人となごみ、仲良くする心が「和」。
容姿や能力や功績などは、自分が作り上げるものではなく、すべてが神から与えられた贈り物、すなわち「善」である。
「和」の心で、「善」を多くの人々と分かち合う。
「和と善」の精神で社会に貢献する人物を育てるべく教師たちは
奮闘しているが、「伝わる」ことの難しさ、もどかしさを感じているので、ヒントが欲しいと、講習の依頼を受けた。
きょうの講習会は、「伝える 伝わる」というテーマ。
伝えると伝わるの違いを考えた上で、
どうしたら伝わるのかを本気で話した。
そう、結局のところ、「本気」が問われるのだ。
本気でことばを選び、本気で話し、本気で聴く。
どんなことばを選べばいいのか、どんな声でどんなトーンで、
どんなふうに「間」を考えて、その都度、本気でことばを取扱う
ことが「伝わる」ことに繋がる。
先生方は、児童とのコミュニケーションギャップに悩んでいる。
●自分の温度と相手の温度のギャップを感じる。
●自分の意図が伝わらない。
●同じことばも受け取られ方でギャップが生じる。
●自分がわかっていることは、
相手もわかっていると思い込みがち。
●ことば数が多いから、伝わり方が悪くなる。
●相手の真意を汲み取れない。
●自分が意図した言葉が別の意味になって伝わってしまう。
●つい雑な乱暴な言葉使いをしてしまう。
●馴れ馴れしい言葉使いを
場に相応しいものに指導するのが難しい。
●適切な例え話をするのが難しい。
●似た意味の言葉から、場面によって使い分けるのが難しい。
一つ一つに向き合いながら、一緒になって対処を考えた。
先生方からの感想。
●言葉は、それを聞いた人の意識に染み込んでいくものだと考えると、ことばは未来を創造することを肝に銘じたい。
●つい強い言葉で、子どもたちを威圧しているかもしれない。落ち着いた雰囲気の中で、教員間で共有しながら、言葉選びを考えたい。
●独り言が多いので、ネガティブなことや言い訳を口にしがち。使う言葉を意識して、自分の心を変えていきたい。
●武器言葉を楽器言葉に変えるには、語彙力と時間が必要と感じた。
●事前アンケートを活用して、教員相互の意見交流の場としてもらえた。教員として、子どもたち一人一人の意見を受け止める授業を怠けていないかと自省させられた。
●村上さんの引き出しから無限に出てくる言葉が、わかったつもり、知っているつもりで、実は見えていないことだらけだった。
●「聴す(ゆるす)」ことが出来たら、きつい言葉を発することは少なくなると思う。「聴す」ことを念頭に置いて、子どもたちと関わっていきたい。
「音楽の時間、あなたの歌声を聴くのが楽しみでした」と、
小学校4年生の担任に言われたことばを今でも覚えている先生がいた。きっと、このことばで音楽が好きになり歌うことが喜びになったことだろう。
教え子から「先生のようなカッコイイ女の人になりたい」と言われた先生がいた。教師冥利に尽きることばだ。
とどのつまり、人はことばによって育み育まれる。
(仁川学院校門 左手の門柱に「和と善」が刻まれいる)
(仁川学院校訓)
(コルベ神父像)