プロ野球界稀代の名将・広岡達朗さんは卒寿90歳を迎えた。
心身統一合氣道会の藤平信一会長がその熱い言葉の数々を聞く。
野球界の未来、日本の未来、そして「氣」の力について広岡さんが語り尽くした。
藤平さんに言わせると、広岡さんは「愛」の人。
「怖い」「厳しい」「管理野球」とは無縁の人だ。
明るく爽やかで、よく笑う。
竹を割ったような性格で忖度はしない。
裏表がない。感情的にもならない。
柔軟思考で稀代の勉強家。
日本には、「今さえよければいい」「自分さえよければいい」という考えがはびこっている。目先の結果ばかりを求め、人を育てることも放棄しようとしている。広岡さんは、そうした現状に警鐘を鳴らす。
「こうあるべき」ではなく、その人の特質をよく理解し、それが佳き方に向かうよう導くのが指導者。相手を信じ、自分を信じ、根気強く教え続ける。
病気は、間違った生活習慣を伝える身体からのSOS。
怪我は、誤った身体の使い方を伝えるメッセージ。
自らの生活を正すことで自然治癒力が高まり、病を癒していくことが出来る。病や怪我は、「正しく生きなさい」と、人生の方向性を指し示すチャンスと考えたらいい。
自分のことしか考えないと、「死」に取り憑かれてしまう。人はいずれ死ぬのだから、それならば人が喜ぶことをして生きたい。
そう、広岡さんは思っている。
年齢を重ねることで肉体の変化や精神の大切さもわかってくる。
本当のことを学べるのは70歳からという。
死ぬまで学び続け、死ぬまで教え続け、死ぬまで愛し続けよ。
それが人生の答えだ。