ニューヨークの奇跡 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

またまたクラブハウスの奇跡。

4日前に知り合ったばかり、しかもニューヨーク在住の音楽家と

時差を超えての対談。

 

宮嶋みぎわさんは、リクルートに勤めていた。

それだけで親近感がわく。

ボクも昭和51年にリクルートの就職試験を受けたからだ。

見事、玉砕したが…。

その後、藤原和博さん、平川理恵さん、荒井優さん…リクルート出の人に何人も会ったが、逸材ばかりだ。あ、藤原さん、平川さん、荒井さん、みんな校長先生経験者ばかりだ。

 

さてさて、宮嶋さんは、茨城県日立市生まれ。

上智大学を出て、リクルートに入社。

30歳のとき、音楽家に転身した。

ピアノは3歳から始めた。

進路を考えたときに、音楽の勉強だけに専念することに抵抗があり、

音楽大学には行かず独学で音楽の高等教育をマスターした。

東京とニューヨークの2都市で17人編成のジャズ・バンド「Miggy+ Jazz Orchestra」を率い自らの世界を表現するほか、ピアニスト・作曲家・プロデューサーとして日本とアメリカを行き来して活動している。

アメリカの名門The Vanguard Jazz Orchestra日本代理人・副プロデューサーも務める。グラミー賞候補に4回もノミネートされている。

日米をジャズ文化で繋ぎ、ジャズ界&音楽ビジネスの新しいあり方を模索する人としても注目を集めている。

とに何となく抵抗があって、結局、上智大学文学部教育学科に進学しました。

音大に行くのを辞めたこともあって、一時期ピアノも弾かなくなっていた。すると、風邪を引きやすくなったり、疲れてすぐ寝込むようになったり、身体に影響が出てきた。薬も飲み続けていた。

それを傍らで見ていた親友の奥野順子さんが、「身体の具合が悪いのは、音楽から逃げているからだ!」「クラシックで挫折したのなら、ジャズをやってみればいい!」と言って、私を半ば強引にジャズサークルへ入部させた。そのサークルが、まさに今、私がライフワークにしているジャズのビッグバンドだった。(この日、奥野さんもクラブハウスに登場)。

 

2004年、リクルートを辞めてからは、1年に1度、音楽の勉強をするためにニューヨークに通っていた

2008年、スケジュールにぽっかり穴が開き、偶然、The Vanguard Jazz Orchestraが1週間毎日演奏していることをキャッチし、思い切ってニューヨークに飛んだ。

2月の寒いニューヨークで、ドアがオープンする1時間前から並んで、最前列に陣取った。それも1週間毎日! 五線譜を持って1番前の席に座って涙を目にためて、「やっぱりこれだ」と思いながら、彼らの演奏を聞いていた。「アジア人の変な女の子が毎日来ているよ」と、彼らの目に留まり、自然と仲良くなった。

そうして自然発生的に、彼らとの仕事が始まった。

彼らは、ジャズの教育を通じて世界の友好活動に貢献することを目的にしたNPO法人としての顔も持っていた。そんなジャズ・バンドは、他にない。

みぎわさんは、必ず「彼らを日本に連れて行こう」と決意した。

そして、2009年に彼らの日本ツアーを実現させたのだ。

彼女の天性のパッションがミラクルを次々起こしていった。

「自分の能力を超えた仕事はすべて受ける」という腹の据わった根性が、困難な道を切り開いてきた。

「才能だけでは成功しない。情熱と努力で、ひたむきにやっていると、誰かが見てくれている」

その誰かが、みぎわさんの周りに次々と現れた。

 

みぎわさんは、チャンスに出合うとき、いつも友人の助言があった。

上智でビッグバンドに入ったときも、ニューヨークに「ヴァンガード・ジャズ・オーケストラ」を聞きにきたときも、信頼できる人が、自分とは違った視点でアドバイスをしてくれた。

ピンチの時は、心から信頼する人の助言を、何も考えずにまるまま受け入れることも、重要だと感じている。

作曲の師匠のジム・マクニーリーにも、こう言われた。
“We are standing at the corners. You can make a lot of mistakes because we are standing here.”
「失敗を怖がらず、たくさん失敗して大丈夫。僕たちは人生の岐路に立って待ってる。みぎわがここへ到達したら、アドバイスをするから。」って。

ジムだけでなく、周囲の人たちにいつも助けてもらっていると感謝を忘れない。価値観、生活習慣、文化や行事、言葉…たくさんの違いがありながら、ニューヨークで暮らしているのは、みぎわさんの素直な性格があるからだろう。

 

みぎわさんの想いは「音楽で世界に希望を作ること」。

諍い、争い、差別とは無縁の社会を作る可能性が、音楽にはある。

音楽には国境がないと確信している。

 

城端蒔絵の十六代小原治五衛門さんも加わり

「守破離」の話で盛り上がる。

アメリカでは笑いが重要なコミュニケーションツール。
世界的に活躍するサックス奏者スティーブ・ウィルソンさんとのステージで彼を笑わせるみぎわさん。