奈良・當麻寺の門前にある民芸品店「和(かず)」。
創業45年。ボクがNHKに入った昭和52年から、
餅やつくだ煮などの土産物や民芸品を売ってきた。
植本茂、和子夫妻が切り盛りする店だ。
ここは、金子みすゞファンの間には、つとに知られた場所でもある。
植本夫妻は、全国初の「金子みすゞファンクラブ」を主宰してきた。
みすゞファンの聖地として、全国から「おとうさん、おかあさん」を訪ねてくる人が後を絶たない。
大正の童謡詩人 金子みすゞを世に送り出した立役者の矢崎節夫さんが、たまたま店に立ち寄ったのが、みずゞとの縁の始まり。
店内にみすゞコーナーを設け、ファンの交流会「奈良みすゞの和」の会員は、最盛期200人を数えた。
ボクは、NHK山口時代から、金子みすゞとは、公私ともにつかず離れず関わってきた。そのゆえにか、ボクも、「和」に行ったことがある。それは確かなことだ。だが、いつどんな機会に、誰と行ったかまでは記憶にない。
當麻寺で生まれ育った髙田将代さんとご縁が出来たとき、
すぐさま「當麻寺といえば…」と「和」さんのことを話した。
このたびお寺の見学に伺うことになったとき、
サプライズで「和」に立ち寄ることにした。
店内に入り、「こんにちわー」と呼びかけたら、
和子さんが出てきて、マスク姿のボクを見て、
一瞬だけ訝しんだが、すぐに「む・ら・か・みさん?」と囁くような声が聞こえた。あとは、何度も何度も「よく来てくれはった。嬉しいわー」。
ボクも、まさに旧交を温められてよかった。
(植本夫妻と)
(髙田将代さんも加わり)
(金子みすゞコーナー)