論語知らずの論語塾72~四書五経を読む | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

1月11日。1並びに加え、一粒万倍日、天赦日。

開運の縁起のいい日の論語塾。

2022年最初の講義に、新しい内容が始まった。

論語だけでなく、四書五経から名言を取り上げることになった。

 

古来、日本人の祖先は、中国の古典を読むことによって、

自らを磨き、高めてきた。
代表的な九つの経典を総称して「四書五経」という。
「四書」とは『論語』『大学』『中庸』『孟子』。

「五経」とは『易経』『詩経』『書経』『礼記』『春秋』。

古代中国では、官僚試験を突破する上で熟読必須の書物だった。

 

四書の中で最も古く、よく知られているのが『論語』。

孔子の言葉を弟子たちが編纂したもので、二十篇で構成されている。日本に伝わったのは三世紀末。日本最古の『古事記』より400前に

なる。以来、『論語』の言葉や教えは長い年月の中で日本人に溶け込み、その精神文化に大きく影響を与えた。

孔子の晩年の弟子に曾子という人がいた。孔子の死後、師の教えを広く伝えた。曾子が著したのが『大学』。そこには人間誰もが本来持ち合わせている「明徳」を明らかにするための道や、自分を修め人を治める道が説かれている。ちなみに、二宮金次郎が薪を背負いながら読んでいる書物が『大学』。

『中庸』は孔子の孫・子思の手によってまとめられた。子思は孔子の孫であると同時に曾子の弟子でもあった。人生の心構えや至誠を貫く大切さなどを説いた含蓄に富んだ書物。

子思の教えの流れは、やがて『孟子』という一冊の書物となる。

これは孟子と弟子たちの言行録で、性善説に基づいた人の道や仁義に基づく王道政治の大切さが説かれている。孟子の気概溢れる数々の言葉は長い時を経て、幕末の志士・吉田松陰の思想などにも大きな影響を与えた。

孔子、曾子、子思、孟子と続く学統と「四書」とは深い関わりがある。

 

安岡塾長が師と仰ぐ田部井文雄さん監修の『読むだけで人間力が磨かれる、大人の漢文』を

もとに、名言を紹介する。

●千里の行(こう)も、足下より始まる(老子、第六十四章)

  ~どんな長い旅でも、始まりは最初の一歩から。

  「千里の道も一歩から」とはいえ、ただ単に一歩一歩進めばいいと

 いうだけでなく、最初から注意して進めという教訓でもある。

●彼を知り、己を知れば、百戦殆(あや)うからず(孫子 謀攻編)

 ~敵味方双方の研究をしっかりしておけば、百回戦っても負けない。

 あらゆることを想定しておけば、

 トラブルが起きても解決方法がみえてくる。