コピーライターの川上徹也さんと、クラブハウスで対談した。
それに先立って、彼の著書『一言力』を読んだ。
「一言力」とは、短く本質をえぐる言葉で表現する能力のこと。
本質をえぐるとは、的を射る、核心を突く、小気味いい、言い得て妙、
ズバリ言う…などと置き換えてもいい。
「一言主」という神様は、「良いことも悪いことも、全て一言で言い放つ。
短く本質をえぐるには、以下の7つの能力を身につけたらいい。
言いたいことを要約する技。
リスクを負っても言い切る技。
相手が思わず答えを探す問いかけの技。
相手の質問に的確にコメントする技。
興味をひくネーミングやタイトルつける技。
相手が腹落ちする比喩を瞬時に言う技。
多くの人を引っ張る旗印やスローガンを作る技。
カワテツさんは、「無用の用」という言葉を座右の銘の一つにしている。
「一見役に立たないように見えるものの中にこそ本当に役立つことがある」という考え方だ。
いまは言葉メタボな状態。価値のない形式だけの無駄な言葉が多すぎる。余分な前置きや慣用句で、本当に大切なことが伝わらない。
寸鉄釘を刺すような一言で言い表す、言葉のダイエットが必要だ。
この本には、人の心を動かした「一言」が満載。
よくぞ、これだけのエピソードとエビデンスを集めたものだと感心する。
「具体」は何よりの説得力を持っている。
カワテツさんは、大阪生まれ。
「ノンブックス」で、株や古代史などを読みふける小学生だった。
大学時代は、ニホンザルの社会構造の研究をしていた。
卒業後、大手広告代理店に就職した。
その後、独立して「ストーリーブランディング」という独自の手法で、
企業や団体の理念を「一言」に凝縮してコピーを作っている。
言葉を変えることで、会社や世の中を変え、
「物語」の力でそれを輝かせ広めることを生業にしている。
クラブハウスでも、よくそのアイコンを見つける。
どこかシャイで朴訥とした話し方だが、
その人の物語に寄り添い、温かく優しく包み込んでくれる。
カワテツさんを一言で言い表すならば、
「ことばの価値を高め広げる人」といえようか。
一文字一言ずつ、名前褒めしてみる。
かんでふくめて
わかりやすく
かりてきたことばでなく
みずからのことばで
てっていてきに
つきつめて
やりとげる人