東日本大震災から10年。
あっというま。
10年とはいうが、あのときのまま時計の針が止まったままの人もいる。
あの日。
新幹線で品川駅を出た瞬間、強い揺れに襲われた。
新幹線車内で5時間缶詰になった。
関西に向かうのを断念し、新横浜駅で降りた。
自宅に帰る交通手段もない中、暗闇の線路沿いを5時間歩いて、
深夜、自宅に戻った。帰宅難民を体感した。
その後、スタジオで無力感に苛まれながら、言葉の模索を続けながら、マイクに向かった。言葉を失う場面が多々あった。
言葉にならない言葉にも力があることを教わった。
クラブハウスで、何か出来ないかと思いたち、
震災に関する絵本を読むことにした。
これまでもことあるごとに読んできた3冊の絵本。
『トミジの海』
『希望の牧場』
『はしるってなに』
15メートルの津波を小舟で乗り越えた漁師の話。
放射能の影響で殺処分命令を受けたが、牛を飼い続けた牧場の話。
地震疎開をして郷愁の寂しさの中、自分を乗り越えていく少年の話。
オーディエンスの皆さんに、それぞれの想いを共感してもらえたら有難いと思いながら、真摯な想いで読んだ。
自分に出来ることは、こういうささやかなことしかない。
そして、「けっして、あの日のことを忘れない」ことしか出来ない。