つい1週間まで、その存在すら知らなかった。
それが今や、日常になっている。
『クラブハウス』を教えてくれたのは藤川由樹さん。
元CAで接遇マナー研修や話し方講座、産業カウンセラー、結婚披露宴MCなど、幅広く活動している。
さらに、大学で学び、ボクのことば磨き塾にも来てくれている。
ことばに対する想いの深い人だ。
そんな藤川さんは、「オンラインナビゲーター」という分野を開拓確立させたいと思っている。一つの修練の場に選んだのが『クラブハウス』というわけだ。
ここ数日、自分が関わってみて思うのは、「声の社交場」のように感じた。爆発的に参加者が増えているのは、コロナ時代、「社交」が出来なくなった人たちが、語らう居場所を求めているような気がする。
話し手と聴き手が誰であるかはわかった上で、一期一会の上質の会話を楽しむのも人気の理由だろう。
藤川さんからお誘いを受けて、彼女をナビゲーターにしながら、
ことばを丁寧に取り扱い、ことばを磨くコミュニティが作れたらいいなと、
実験的に「ROOM」を作ってみた。
名付けて、『ことば湯」。いい湯加減のことばのシャワーを浴びて、心地よくなるような場にしたいと名付けた。
ボクは、人に話を聴くとき、いつも相手にとって「いい湯加減」を意識してきた。薪をくべたり抜いたりしながら、温度調節をしていた。
昨日から始めた『ことば湯』には、旧知の人や、初めての方、20人くらいが入りに来てくれた。同時多発的に話さず、じっくり話に耳を傾けてくださる。
ボクの背中を上手に流してくださる人が現れた。
世田谷・龍雲寺の細川晋輔住職だ。
彼の「含蓄」が、さらにいい湯加減を醸し出してくれる。
きょうは、『君みよ双眼(そうがん)の色 語らざるは憂いなきに似たり』ということばを教わった。多くを語らないからといって、あなたは私の両目に宿っている深い憂いの色を感じないのだろうかという意味だ。
ことばだけに頼り過ぎない。目の動きや口の開き具合、しぐさなどにも、表現は見え隠れする。それを、声だけのクラブハウスでも感じることは出来るはずだ。
ことばを聴くには、「空」も大事だと言われる。満タン状態では、ことばは腑に落ちない。「空」の部分を意識的に作っておくと、そこはことばの居場所になる。
「間」が大事。沈黙を大切にということは、ボクも繰り返し言っている。
人間、時間、空間。「間」という字が入っている。
この『ことば湯』。いつまでも長湯していたくなる空間になりつつある。
藤川さんの「無言の愛づち」にも助けられている。
明日も、午前9時20分から。朝風呂に入りに来ませんか。