「精魂込めて」
中西龍さんのことば使いは、まさにそれだった。
一字一句をあだやおろそかにしない。
丁寧に丁寧に「音声表現」していた。
放送で紹介するお便りも、いわゆる「読み流し」などもってのほか。
恭しく押し頂くように読んでいることが、音声からわかる。
中西さんは、自らの精魂をかく物語る。
「海」と口にするとき、しっかりと海になりきるように言う。
「山」と口にしたとき、有難いと思いながら言う。
「花」と初めて呼ぼうと決めた人の口から「は・な」という音がこぼれ出たとき、どんなに素晴らしい響きだったことだろう。
ことばが使えることへの感謝を、静かに噛み締めようではないか。