「サイヨウナイテイス」
昭和５１年１１月２４日のことだ。
ＮＨＫ人事部から、カタカナ９文字の電報が届いた。
嬉しくて飛び回った。父も母も、それまでもそのあとも含めて破顔一笑、いちばん喜んでくれた。
小学校６年生の時、新聞記者か小説家になりたいという夢を持っていた少年は、長じてNHKアナウンサーになった。
公立高校受験にも現役の大学受験にも不合格だった。
その後、３３歳の時、運転免許試験に２回も不合格だった。
そんなボクが、就職試験だけは、スムーズにいった。
昭和５２年４月１日。
ＮＨＫの職員採用発令式。そこで辞令書を受け取った。
「職員見習A級とする」。
後にも先にもＮＨＫで辞令交付を受けたのはこのときだけ。
その後の異動や昇進のとき、人事発令書はなかった。
ゆえに、この辞令書も内定通知電報も貴重なものだ。
人見知りで引っ込み思案のボクが、
なぜアナウンサーの道を選んだのか、それは稿を改めたい。
