松本楼のエネルギー | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

松本楼は、創業117年の由緒あるレストランだ。

明治36(1903)年、日比谷公園とともに誕生した。

ハイカラ好きなモガやモボたちの間で「松本楼でカレーを食べて珈琲を飲むこと」が流行った。

夏目漱石や高村光太郎など多くの文人たちも憩いの場にし、自らの作品の舞台にもした。

そして、歴史上の出来事も見つめてきた。

日比谷公園焼き打ち事件、226事件、山本五十六元帥の国葬…

空襲でも焼け残った建物が、

1971(昭和46)年、沖縄闘争の焼き打ちで全焼。

その後再建されたとき始めた感謝の振舞い「10円カレー」は、いまも続いている。

由緒ある場所には、エネルギーが充満している。

何より、店の前に立つ銀杏の木は、樹齢五百年。

ものすごいエネルギーを発している。パワーをいただいてきた。

 

歴史上の話といえば、

松本楼は、中国革命の父と称えられる孫文とゆかりがある。

来日の折、松本楼に、しばしば立ち寄った。

孫文夫人の宋慶齢が弾いていたピアノが、

いまも店内に展示されている。

1907年製の国産最古のピアノだといわれる。

鍵盤は象牙で出来ている。

これまで、ほとんどの人は、指1本で音を出すだけだが、

両手でピアノを弾いたのは、坂本龍一さんと松任谷由実さんだけと聞き、ボクも!とおねだりしてみた。小坂社長がニッコリ微笑んで許してくれた。3番目の人になれた。

 

(渋沢栄一が大正13年に揮毫した看板)