あの日から25年の歳月が流れた。
阪神淡路大震災の起きたその日、
ニューススタジオに駆け込み、第一報を伝えた。
以来、数十日にわたって、
何を誰にどう伝えたらいいのか、もがく日々が続いた。
震災伝承の風化が言われる昨今、1月17日に村治佳織さんをゲストに迎えてトークライブを開くのは、なんという巡り合せなのだろう。
世界的ギタリスト、村治佳織さんに念願叶い、
ようやくゲストに来ていただけた。
なかなか都合が合わず、3度目の正直だ。
それが、期せずして1月17日だったのだ。
彼女の演奏の素晴らしさは、改めて言うまでもないが、
ギターの最初の師である父の村治昇さんは、
「しんがあって、温かみがあって、輝きがあって、胸に響く音があって」と手放しの評価だ。
平面的な音符に、村治さんがギターを爪弾くことで、
音符が立ち上がり歩き出し、立体的になる。
震災で母を亡くした少年の気持ちを読んだ詩を朗読した。
母が身を挺して我が子を守ったが、
母の鼓動がしだいに弱くなっていく。
だが、自分の鼓動に母の鼓動が重なり、自分は「ひとりではない」と感じる少年。村治さんの奏でる音と、ボクが発することばが溶けあう。
神戸で25年歌い継がれてきた『しあわせ運べるように』、
東日本大震災復興支援の歌『花が咲く』も朗読。
続いて、村治さんが『花が咲く』を演奏。
100人を超える会場の人たちの気持ちも一つになり、
かけがえのない命に想いを馳せた。
村治さんの初エッセイ『いつのまにか、ギターを』から、
村治さんを支えた「ことば」を選び、トークした。
(気になる「ことば」は、明日紹介する予定)。
村治さんの演奏は、アンコールも含めて8曲。
演奏中は、会場は、全身耳状態。
極上の至福の時間を共有した。
みなさんの感想アンケートから…。
●2020年のスタートに相応しく前向きな気持ちになれた。
●お二人の「今」を楽しもうという心意気と、
村上さんの「いぶし銀」の語りがよかった。
●こんなに間近で演奏が聴けたことに感動した。
●1月17日に思い起こす記憶が一つ増えた。
●懐かしい気持ちになる心地よい演奏だった。
●ギターの音で未知の世界を旅した気持ち。
●音の一粒一粒に光を感じた。