話してばかりいては、アウトプットするばかり。
聴いて聴いてインプットしなければ、
自分の引き出しに「ことば」が貯まらない。
だが、わかってはいても、ついつい聞き流してしまい、
自分のことばを放出してばかりということになりがちだ。
「自分のことはさておき」、「相手の土俵」に乗ればいいのだ。
NHK京都文化センターの講座『全力で聴く』に通う
大学3年生の小林くん。
京都の神社仏閣にも、美術館や博物館にも、女性にも興味がない。
だが、ハンドボールには興味がある。
食べることにも関心がない。
小学生の時、女性の先生に給食を無理矢理食べさせられたことがトラウマとなり、女性と外食という選択肢はありえない。
だが、祖母や母の料理は好きだ。
彼は、芸能事務所のマネージャー志望だ。人を笑顔にしたい。
幸せな気持ちにしたいという明確な目標を持っている。
なのに、この講座に来た当初は、ほとんど笑うこともなく、
ことば数も少なかった。
それがどうだろう。話すことが楽しそうで、次々ことばが湧いてくる。
笑顔の時間も長くなってきた。見違える変化だ。
次の質問を考えている「思案顔」ではなく、興味を抱いて聴きこんでいる顔をしていた。
ことばという道具を意識するだけで、こんなに変わるのだ。
(去年4月には、こんな笑顔はなかった。
キンチョーのあまり、トイレで吐いてから教室に来ていたという。
もちろん、いまは教室に直行だ)