ヒーリングオペラで歌い初め | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

増田いずみさんを初めて知ったのは、

彼女がNHK大河ドラマ「武蔵」のエンディング曲「ロマンス」を歌っていたころだ。2003年と記憶している。

クラシックとポップスを融合させたクラシカルクロスオーバーの歌手として注目されていた。まだ藤澤ノリマサさんのデビュー前のことだ。

 

しばらくご無沙汰しているうちに、増田さんは、大阪にいた。

文楽義太夫の豊竹咲甫大夫(現・竹本織大夫)さんと結婚した。

私生活でも和と洋の融合を成しが遂げていた。

2人の男の子の母親となり、夫を支え、実家の料亭を手伝う中で、

しばし、歌から遠ざかっていた時期もあった。

文化の違いで戸惑うことも多い中、妻と母と嫁の三役をこなしていた。

大阪での「ことば磨き塾」の塾生になり、そこでラジオ出演以来、

十数年ぶりの再会を果たした。

夫の襲名披露も終わり、子育ても一段落つき、再び自らの音楽活動に力を入れ始めた。東京でコンサートを開きたいという彼女の希望に沿う形で、今回のトークライブが実現した。

 

増田さんが、かつてアメリカのジュリアード音楽院で学び始めたころ、

教官から、こう言われた。「あなたはオペラ歌手になろうとしている。

あなたはあなたにならなければならない」と。

自分しか出来ないこと。クラシックの名曲に、日本語の歌詞をつけて、

ポップス的なアレンジで歌う新たなジャンルを開拓した。

子どもを授かってからは、トルコ行進曲がカレーライスの曲に変わり、

夜の女王のアリアが魔女の歌に早変わりした。

彼女の歌声は、まさにヒーリングボイス。癒しの歌声だ。

不思議な森の世界に誘われるようだ。

 

(左は、ピアノ伴奏の岩本正樹さん)

(柳家花緑さんと、竹本織大夫さんは仕事仲間。

その母と妻)