コスモプラネタリウム渋谷に打ち合わせに行ったら、
思いもかけぬ先客がいた。
宇宙創生に関わるゆらぎ理論の第一人者、佐治晴夫博士。
このブログでも、佐治さんの本の紹介をしたことがあるが、
佐治さんの「宇宙視点」が好きだ。
金子みすゞの理解者としても知られている。
ボクも、二十数年前に、みすゞのイベントでご一緒した記憶がある。
あまりにも嬉しく「お久しぶりです!」と大きな声で言うと、
一瞬お忘れのご様子だったが、すぐに思い出してくださった。
そして、立ち話ではもったいないような含蓄のある話を
聞かせてくださった。
佐治さんは、神奈川の自宅と、北海道・美瑛町のアトリエを行ったり来たりしている。82歳とは全く思えない。
佐治さんは、美瑛町の町中にあるMISORA天文台の台長でもある。
一昨年7月にオープンした天文台には、口径40センチの望遠鏡が備えられた。ここでは、昼間でも一等星のような明るい星を見ることができる。
金子みすゞの詩に『昼のお星はめにみえぬ。見えぬけれどもあるんだよ』という一節があるが、昼の星を観察することで、目に見えるものがすべてではないことに気づいてほしいと考えている。
「ぜひ美瑛に昼の星を見に来てください」と言われたので、「本気で見に行っていいですか?」と言ったら、「もちろん本気で来てください」と穏やかな笑顔で返された。
美瑛町の自宅にはグランドピアノのほか、パイプオルガン練習用の電子オルガンもある。ピアノは以前から弾いているが、68歳からパイプオルガンの練習も始めたそうだ。
戦時中、将来を危惧した父に『こんな時だからこそ良い音楽を』と言われ、日本橋の三越本店でパイプオルガンの演奏を聴いた。以来、その音色に魅せられている。
年を重ねたら、身体や頭の動きは衰えるが、多くの経験を重ねて感性は磨かれていく。人の一生に全盛期も衰退期もない。「いまさら」でなく「いまから」が、佐治さんの信条だ。
過去は単なる記憶で、実際に経験した過去そのものでない。
過去は固定されたものでなく、自分の都合のいいように作り変えたり、脚色したり出来る。そんな実態のない過去にこだわるより、この先どう生きるかを考えたほうがいい。未来が過去を決める。佐治さんの目は、未来しか見ていない。
「どの一瞬も美しい」と題した佐治さんの講演会が、コスモプラネタリウム渋谷で開かれる。6月21日19:00。~