合計16年、渋谷に通っていた。
当然、渋谷の商店街にはお世話になってきた。
渋谷区商店会連合会の講演会に招かれた。
通い慣れた渋谷での講演会は、初めてだと思う。
渋谷区商店会連合会には、合わせて59の商店街が参加している。
渋谷区といっても広い。恵比寿もあれば外苑前、幡ヶ谷、笹塚もある。
ボクは、センター街や文化村通りの商店街がテリトリーだった。
きょうは、連合会の婦人講習会。
会場は、ほとんどが女性で埋め尽くされていた。
腕組みしたまま、難しい顔している男性相手の講演会と比べたら、
正直やりやすい。すぐ笑ってもらえるし、反応もしてもらえる。
最近は、講演会でよく母の話をする。もうすぐ亡くなって4年になる。
「イタイ、ツライ、シンドイ・・・」
母が嬉しいことばを言わない人だったので、ボクも嬉しいことばが母に言えなかったというザンゲ話をするのだ。
商店会連合会の事務局で、この日の司会役も務めた井口千加子さんのお母さんは、ボクの母と真逆だ。
93歳で、いささか認知症気味だが、
嬉しいことばをよく口にするそうだ。
「きれいに片づけてくれて有難う」
「まぁ、嬉しいわ」
口うるさいことを言っても「娘を産んでおいてよかったわ」と。
介護が必要になってきたので、近く施設に入居するそうだが、
心配する娘に「なるようになるわよ」と逆に安心させるそうだ。
こうして母から嬉しいことばが返ってくるということは、
井口さんが嬉しいことばをお母さんに言っているからにちがいない。
ボクの差し出したカラフルな名刺を見て、男性役員は何も言わなかったが、井口さんは開口一番「素適ですね~」
嬉しいことばの伝道師が、ここにもいた。
(今回の写真は、渋谷区内の写真学校に通う
ハギワラ ヒカルさんが撮影してくれた)
(絵本朗読の手伝いしてくれた井口さん)