東京都東大和市にある中小企業大学校講堂。
ここで、ラケットショップフジの全社員研修が、丸一日行われる。
本来なら、きょう、この場所に、
争わない弁護士の西中務さんが立つはずだった。
だが、西中先生は、去年大晦日、緊急入院され、
1ケ月の闘病の末、今月1日逝去された。
数多く講演をこなしてきた西中先生は、
名前を呼ばれると、割れんばかりの大きな声で「ハァイ!」と返事をし、
「元気だけが取り柄の弁護士の西中務です!」と挨拶されるのが通例だった。張りのある声と人懐こい表情が、聴衆を引き付けた。
ラケットショップフジは、バドミントンやテニスのラケットの専門店だ。
東京都内や神奈川県内などに、15店舗を展開している。
経営理念は、「お客さまの幸せ、社員の幸せ、会社の幸せ」。
会社を率いる渡辺勇樹さんは、かつてはバドミントンの選手として活躍し、いまも熱血指導を続けている。その渡辺さんが、西中先生の著書を読み感銘を受け、社員研修の講師を依頼していたのだ。
だが、アクシデントで叶わなくなり、西中先生を知る人でピンチヒッターになれる人を探していて、ボクに白羽の矢が当たったのだ。
ボクも西中先生の本を読み、すぐに会いたくなり、
2015年の暮れに引き合わせてもらった。
今でも力強い握手の感触を覚えている。
感謝、報恩、利他、慈悲、謙虚、品性、天命・・・この7つを大切にしていけば「心の億万長者」に近づけると言われていた。
会ってすぐ、御礼のハガキが届いた。年に2万枚は書くそうだ。
この時のご縁が、きょうに繋がった。
会場に西中先生が来てくださっていたように感じた。
なんと、奇遇にも、帰宅したら、西中夫人からの手紙が届いていた。
「このたびは主人の代講をお引き受けくださいまして有難うございます。きっと西中もご一緒していると思います」と書かれていた。
倒れるその日まで元気にしていたこと、突然の出来事に戸惑ったこと、
一か月、家族との時間のために頑張ってくれたことなどが記されていた。来月末のお別れの会に出席し、きょうの代講の報告をしてくるつもりだ。
(社長の渡辺勇樹さんと)
(とんかつダブルをあっという間に平らげた渡辺社長)
(2015年12月30日 西中先生と初対面の日に)