かがみのかなたはたなかのなかに | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

なんとも不思議な世界に迷い込んだ感じ。

鏡の向こうと鏡のこちらで、緻密に重なり合いながら動く身体。

回文や反復ことばが繰り返され、

まるでセリフが音楽のように聞こえてくる。

舞台にたつ出演者も、

身体表現と言語表現の境界を行ったり来たりする。

 

新国立劇場開場20周年記念公演

『かがみのかなたはたなかのなかに』を観てきた。

俳優の松たか子さん、

バレエの首藤康之さん、

振り付けの近藤良平さん、

演出家の長塚圭史さん。

それぞれのジャンルをクロスオーバーさせながら、表現に挑んでいる。

 

兵隊さんのたなかと、鏡のむこうのかなたは、

おたがいの孤独に同情し、さみしさをなぐさめあう。
ある日たなかは、鏡の向こうのけいこにひとめぼれ。

つられてかなたもけいこに恋をする。
向こうでかなたがけいこに近づくと、

たなかはこちらでこいけに近づいてしまう。
こいけは鏡にうつったけいこ。

こいけはけいことは比べものにならない。
けいこを取りあうふたり。

それがだんだんうれしくなるけいこ。
鏡をはさんで、たなかとかなた、けいことこいけは行ったり来たり…。
はたして4人はどうなってしまうのか・・・。

 

鏡を挟み、タナカとカナタ、コイケとケイコがペアで織りなす

動きに目が釘付けになる。

鏡の向こうに広がる神秘には、戦いや愛が絡む。

物事を大人と違う角度で眺める力を持つ子どもは、

世界は陽気なだけではないことを感じるだろう。

大人には、子どもの頃に感じたはずの好奇心や想像力を

思い出させてくれる。

 
上演は、24日まで、東京の新国立劇場小劇場で。
年明け、神戸・新潟・富山などで地方公演が予定されている。