型を会得した上での型破りな生き方を紹介する第二弾は、
剣豪・宮本武蔵。
六十回を超える戦いで、一度も敗れたことのない武蔵。
彼が目指した境地は「空」。
「観見二つの眼をとぎ、少しもくもりなく、まよひの雲の晴れたる所こそ」
空だと言う。
「観」とは、大きな眼。上から俯瞰するように全体を見渡す眼。
ただ細部を「見る眼」も大事なので、マクロとミクロ的視野両方を
意識的に持つべきだというのが武蔵論。
さらに「遠きところ近く見、近きところを遠く見る」ようにと諭す。
世阿弥の「離見の見」に通じる考え方だ。
武蔵の文章には、
「よくよく工夫すべし」「よくよく鍛錬すべし」「よくよく吟味すべし」という
3つのフレーズが繰り返し繰り返し出てくる。
学んだことを「吟味」して初めて自分のものになる。
いつでも平常心を保てるよう「鍛錬」しておくべきだ。
人の試みていないことが出来るよう「工夫」怠りなく。
さすれば自分のスタイルが出来あがり「上達」することが叶う。
何も「型破り」とは破天荒な生き方を指すのではない。
地道にコツコツ重ねていくことが、型通りにならず、
自分だけの型になっていくということだ。