型破りな武蔵 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

型を会得した上での型破りな生き方を紹介する第二弾は、

剣豪・宮本武蔵。

六十回を超える戦いで、一度も敗れたことのない武蔵。

彼が目指した境地は「空」。

「観見二つの眼をとぎ、少しもくもりなく、まよひの雲の晴れたる所こそ」

空だと言う。

「観」とは、大きな眼。上から俯瞰するように全体を見渡す眼。

ただ細部を「見る眼」も大事なので、マクロとミクロ的視野両方を

意識的に持つべきだというのが武蔵論。

さらに「遠きところ近く見、近きところを遠く見る」ようにと諭す。

世阿弥の「離見の見」に通じる考え方だ。

 

武蔵の文章には、

「よくよく工夫すべし」「よくよく鍛錬すべし」「よくよく吟味すべし」という

3つのフレーズが繰り返し繰り返し出てくる。

学んだことを「吟味」して初めて自分のものになる。

いつでも平常心を保てるよう「鍛錬」しておくべきだ。

人の試みていないことが出来るよう「工夫」怠りなく。

さすれば自分のスタイルが出来あがり「上達」することが叶う。

 

何も「型破り」とは破天荒な生き方を指すのではない。

地道にコツコツ重ねていくことが、型通りにならず、

自分だけの型になっていくということだ。