なんと形容したらいいのだろうか・・・。
パワフル・・・ちがうなぁ。
鬼気迫る・・・ちょっとちがうなぁ。
暗闇を切り裂くような・・・ちょっと近づいたかなぁ。
社会の底辺から世界を見詰め、
腹の底から、ありったけの想いを絞り出すような歌声。
うん。これかな。彼女を形容するとしたら。
でも、形容なんてしなくていいこと。
還暦なのに可愛げを感じるトークとは裏腹に、
ひとたび歌い出すと、ことばのつぶてが胸に突き刺さる。
聴く人を一気にハコワールドへ連れ去っていく。
会場全体を、ことばがミラーボールのように、
あちらにもこちらにも浮遊している感じ。
いやはやKOされた感じ。
でも、心地よいKOだ。
フォークシンガー、山崎ハコさんが、まもなく還暦を迎える。
カ・ン・レ・キ・バースディライブに行ってきた(13日)。
1957年5月18日生まれ。
丁酉(ひのととり)が60年かかって巡ってきた。
18歳でデビュー、20歳くらいで辞めると言われたこともあったが、
42年歌ってきた。
イメージ戦略で「暗さ」を演じていた時代もあったが、
暗さを売りにしているうちに、それは「深さ」に代わったように思う。
大分から上京。
高校3年生で『飛・び・ま・す』でデビューした。
世間知らずの「ハコ」入り娘は、事務所の方針に従っていた。
だが、22年所属した事務所が、ある日突然倒産した。
ハコさんは、まさに路頭に迷う。
40歳にして、家も仕事もなくなり途方にくれた。
そんな時、捨てる神あれば拾う神あり~「縁」がハコさんを救った。
この日も、傍らでギターを奏でる安田裕美さんは、
人生のパートナーでもある。これも「縁」。
会場の観客も、ハコさんとともに歩んできた、
いわば同志のような「縁」で結ばれた人たちばかり。
いつもはジーパンのハコさん、
「カ・ン・レ・キ」仕様の真っ赤なドレスが似合っていた。
終演後、間隙縫って、ハイタッチしてきた。
カ・ン・レ・キ・バースディライブは、
きょうも開催。
渋谷にある大和田伝承ホールで、17:00から。