永さんは死なない19~好きな人に告白することば | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

子どもたちの素朴な疑問に答える「子ども電話相談」は、

先生方の四苦八苦しながらの珍答がおかしくて、大人も聴いている。

ボクも、NHK時代、夏休み子ども科学電話相談を担当するのが楽しみだった。

NHKも30年以上の歴史があるが、TBSの「全国子ども電話相談室」は、

44年間(1964~2008)放送された長寿番組。

永六輔さんも、レギュラー回答者だった。

永さんは、ロマンチストだったことを伺わせる回答。

小学6年生の女の子の

「好きな人に告白することばを教えてください」という質問に対する答えがスバラシイ。

 

言葉は一番大切です。
でも、好きな人に「あ、この子好きだな」とか「いい人だな」と思われるには、

「おなべをいっしょに食べて同じものをおいしいと思う」、

「夕やけを見て、両方が美しいなと思う」というような

同じ感動を同じ時点で受け止めるのが一番効果があります。

例えば、「いただきます」とか元気な声で言っていると、

それだけで「あの子いただきますって言ってるな。

きっといい子なんだろうな」と思うじゃないですか。

「あなたがすき」ですとか、「キミを僕のものにしたい」とか、

「世界のどこかで待ってる」とか、そういうのはあんまり効果がありません。

「きれいだな、おいしいな、うれしいな」ということが同時に感じあえる環境が一番大事。
だから、「好きです、嫌いです」という言葉ではなく、

いい言葉を使っている子は好きになれる。

「あの人ならこの言葉は好きだろうな」と思った言葉を何気なく使っているときの方が

ドキンとします。「あなたが好きです」というのは最悪な言葉です。

だから、いっしょの環境にいるときに同じ感動をする場面に出来るだけいっしょにいる。
スポーツの応援でもいいです。

そうすると、使いあっている同じ言葉にドキンとすることがあって、それが愛なんです。

自分でいうのもおかしいけど、ひとりでご飯を食べてておいしいことないです。

ひとりで野菜を食べているときは本当にさみしい。

やっぱり家族、好きな人といっしょのほうがいい。

二人っきり、まずはふたりになること。

きれいな言葉を使いあうこと、

きれいなことに感動すること、

ふたりで声をそろえて感動してください。