論語知らずの論語塾18~孔子は人を見抜く天才 | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

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元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

孔子は、決して聖人君子でも雲の上の人でもない。

家庭的にも恵まれず、下積み生活も長く、仕官出来てからも50代で失職し、

流浪の旅に出る。

だが、現実にもまれながらも理想を貫き、

理想を掲げながらも、現実を踏みしめて生きてきた。

苦労を重ねた人生経験が、人を見る目を磨いていった。

 

この日(14日)教わった章句の一つ。

子曰く 君子は言を以って人を挙げず、

人を以って言を排せず

君子は、言葉だけで人を信じたり登用したりしない。

また日頃の行いが好ましくない人の言葉だからと、

良い言葉まで否定しない。信用しないこともない。

つまりは、見かけ上辺だけで人を判断しないということ。

孔子は、自分の弟子を的確な「たったひとこと」で評している。

例えば、柴は愚柴くんは馬鹿正直で融通が効かない。

参は魯参くんは魯鈍で飲み込みが悪い。

厳しい見方をしているように思えるが、見込みのある弟子への愛のムチだ。

短所は裏返せば長所。

融通が効かないということは、ぶれないということ。

飲み込みが悪いということは、簡単に納得しないということ。

発奮材料として、あえて「寸鉄釘を刺した」のであろう。

 

「道」をテーマに話し合ったとき、貴重な話を聞いた。

久米宏さんがニュースステーションを始める時、

「自分の目の黒いうちは戦争をさせない」と所信を述べたそうだ。

そうしたら「おまえの目だけでいいのか」とクレームが来たそうだ。

それに対しての久米さんの答えがすこぶるいい。

「みんながそう思えばいいことだ」

ここに久米さんの「ニュース道」がある。