今年も、多くの先達が彼岸に旅立った。
秋山ちえ子さん、永六輔さん、大橋巨泉さん、田部井淳子さん、富田勲さん、西田善夫さん、
江戸家猫八さん、二上達也さん・・・
なかでも面識を得た方は、折に触れその面影を想い返している。
このブログでも、永六輔さんへの想いは、何度も綴ってきたが、
今年の締めくくりも永さんにしたい。
きょう一日で、
永さんの『むずかしいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを面白く』を読破した。
このことばは、ボクの座右の銘でもある。
駆け出しの頃、当時のNHK特集のCPから聞いたことばと記憶しているが、
作家の井上ひさしさんや永六輔さんの指針でもあった。
この本は、2009年から13年の毎日新聞の連載記事をまとめたものだが、
パーキンソン病になり呂律が回らなくなり引退をも考えた揺れる思いが綴られている。
そして、ラジオへの必死の想いも伝わってくる。
・ラジオで使われることばは、
「耳から聞くことばとして選び抜かれたもの」であらねばならない。
・ラジオの世界は、心地よい日本語のメディアでありたい。
・人の話を行儀よく受け止め、伝える以上に聞くことも大切にしたい。
・下町の職人に言われた。
「ラジオは風。いい風が吹き抜けるようにいい言葉が流れるとほっとする」
今朝、NHKテレビで、故人の遺したことばを回顧する番組『耳をすませば』で、
永さんがとりあげられていた。
その中のコメントで、こういうことばが印象に残った。
人々を笑わせずみじめにする、命を台無しにすることにNOを言い続けた。
ひとりひとりのことばに耳を傾け、想いを馳せ、声で伝え続けた。
私たちの胸の中に明日への種を蒔いていった。
想いのバトンを渡された私たちは、明日への種に水やりを怠らず、
花を咲かせなければならない。
そして、来る年も、
むずかしいことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを面白くということを
忘れずにいたい。