中国伝来の楽器、揚琴プレーヤーの金亜軍さんとは、
15年くらいのつきあいになる。
互いに「金ち」「村ち」と呼び合う仲である。
揚琴は、打弦楽器。ピアノの親戚筋にもあたり、音色はチターに似ている。
150あまりの弦を2本の竹撥でたたいて音を出す。
テンポのある曲は、弦を目にもとまらぬ早さでたたく。
ゆったりした曲は、弦をいつくしむようにたたく。
きょう、成城ホールで開かれたアットホームなコンサートに行ってきた。
観客も40人ほどの小じんまりした空間に、
時に妙なる調べ、時に魂ゆさぶる激しい音が、聴衆の心に入ってくる。
うっとり聞いていると、金さんが、やおらピアノの中から1冊の本を取り出した。
3年前に、ボクが作詞、金さんが作曲した『あの日あの時』。
金さんが長い説明をしていると、マイクスタンドが出てきた。
そして、ボクが呼び出され、朗読することになった。
まったくリハーサルなどしていなかったが、演奏と朗読の息はピッタリだった。
金さんとは、軽口も叩き合うが、互いに尊敬もし合っている。
だから、10月9日の「いのちの絵本」での共演も楽しみだ。
世田谷龍雲寺の本堂に響き渡る揚琴の音に、
ボクの朗読することばが共鳴する。