この人は、不思議ちゃんだ。
大人なのか、子どもなのか、わからない。
大人と子どもの境界線がない。
大人のラブソングも手掛ければ、子どもの気持ちを知り尽くし歌も作る。
シンガーソングライター、新沢としひこさん。
代表作『世界中のこどもたちが』を
小学校の音楽の授業で歌ったことがある人も多いと思う。
明治学院大学社会学部の10年後輩にあたる。
大学構内でOB対談したこともある。
「いのちの対話」で、水谷修さん、大平光代さんという個性派の
緩衝材のような役回りを果たしてもらったこともある。
新沢さんは、毎年この時期、大忙しだ。
保育士や親子連れのイベントに招かれ、全国を飛び回っている。
きょうも、川崎でライブがあるとお誘いを受け、行ってきた。
新沢さんは、学生時代からライブハウスで音楽活動を始めていた。
東京の保育所で保育者も経験した。
この時の経験が、新沢ワールドを作り上げたと言っても過言ではない。
1991年デュオグループ「Mr.ユニット」でCDデビュー。
1993年に解散後、ソロを中心にした活動を開始した。
いまは、ソロコンサートや保育講習会の講師として活躍するかたわら、
CD制作、児童文学の執筆や絵本出版などマルチに才能を発揮している。
代表作『世界中のこどもたちが』は、小学校の教科書にされた。
2011年3月には『さよならぼくたちのようちえん』が
芦田愛菜主演のテレビドラマの主題歌に採用されたほか、
つるの剛士のアルバムに『にじ』『ともだちになるために』が収録されるなど、
その楽曲に注目が集まっている。
2時間のライブ。
特に際立った趣向があるわけではなく、
どちらかといえば淡々と進められていく。
それでも飽きない。
彼の高音の声から紡ぎだされることばの一つ一つが粒立つ。
一つ一つのことばが、よく聞き取れる。
歌詞がストンと腑に落ちる。
聞いているうちに、優しい気持ちになれるのだ。