続けるということはすごいことだ。
特に、変転の多い飲食の世界では、なおのことだ。
山口県萩市にあるジャズ喫茶『ヴィレッジ』は、創業34年。
マスターの増本義隆さんと、久しぶりに会った。
彼とは、山口時代以来の長い付き合いだ。
自分の店に、世界のトップジャズミュージシャンを招く人脈を持っている。
萩に『ヴィレッジ』ありと、業界では知られた存在。
演奏者からの申し込みがあっても、
彼の目利き、耳利きに適わなければ、断るという。
揺るがない自信が、店を存続させてきたといえる。
山口市にある『カリム』は、創業39年。
カジュアルなフレンチの店だ。構えず気楽に入れる。
山口時代、よく通ったものだ。
料理もさることながら、シェフの山田清さんの人柄も大きい。
久々に会っても、時計の針は、すぐ逆戻り。
「あの頃」に戻って、ため口をきき合える。
長い間には、もちろんイロイロあっただろうが、
続けているからこそ「お互い変わらないね~」と旧交を温め合える。
変わることより、変わらないことの方が、
難しいことだけど、大切なことだと思う。
あ、そうそう。もう一軒忘れちゃいけない「なじみ」があった。
新幹線で新山口駅に着くと、必ず立ち寄る蕎麦屋「ふしの屋」。
ここも続いている。ことし創業50年になる。
山口局時代も、アナウンサー仲間と、よく食べにきた。
黒々とした二八の田舎蕎麦。
いつも決まって食べるのは、割子の上。三段で756円。
ここは、和菓子も美味しい。
文学好きのご主人は亡くなられたが、息子さんが後を継ぎ、
家族経営のアットホームさがいい。
(ふしの屋 外観)