ウインナワルツにひたる | 村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。

子どもの頃から、ウインナワルツが好きだった。

「美しく青きドナウ」「アンネン・ポルカ」「トリッチ・トラッチ・ポルカ」・・・

愛用のレコードを繰り返し繰り返し聴いていた。

とにかくウキウキしてくる。

晴れ晴れした気持ちになる。

心が弾んでくる。


来日中のウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団のニューイヤーコンサートに

思い立って行ってきた。

ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団は、

19歳の“ワルツ王” ヨハン・シュトラウス2世により結成された。
若きシュトラウスは「美しく青きドナウ」など自作のワルツを携え、

欧州のツアーを行い、大成功をおさめ、

作曲家とともに楽団はヨーロッパ中で注目の的となった。

その後、楽団はウィーン・フィルのコンサートマスター、

ボスコフスキーの時代にニューイヤー・コンサートでその名声を確立した。

“ワルツ王” シュトラウス一族が築いたウィンナ・ワルツの伝統を

今に受け継ぎ、聴衆を魅了し続けている。


ウィーンで、一番人気の作曲家といえば、

モーツァルトでもベートーヴェンでもなく、

ヨハン・シュトラウス2世だという。

瞬く間に心をとらえる旋律の魅力、

身体が自然に動く絶妙のリズム感。

聴く人、演奏する人を幸せにする魔法の音楽だ。

人生を賛美し謳歌したくなる。

だから、年の初めに相応しいのだろう。




指揮のヨハネス・ヴィルトナーさんが、ますます楽しい気持ちにさせてくれる。

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のヴァイオリニストでもあった人だ。
「おおきに」「すばらしい」と、

時折日本語を挟みながら、聴衆にユーモラスに語りかける。

ヨハネス・ヴィルトナーさんがタクトを振りかけると、

楽団員の一人が「ちょっと待ってください」と大声をあげた。

なにごとかと思いきや、ブラシを取り出し髪の毛をセットするしぐさ。

香水までかけて、身だしなみを整える様子に、聴衆は大爆笑。

サービス精神あふれる楽団に、われんばかりの拍手。

楽団員も笑顔、聴衆も笑顔。

嬉しい日曜の午後であった。