十五の春。
ボクは、公立高校に落ちた。
つまり、その時点で、行くべき高校がなかった。
必死になって、受験雑誌で、私立高校の2次募集を探した。
とても品のいい顔立ちの校長先生の写真が目にとまった。
本郷高校の松平頼明校長。讃岐松平家の末裔だった。
東讃岐を領した高松藩の松平家は、
徳川御三家の一つである水戸徳川家の分家の中で最も家格の高い家。
頼明さんは、最後の藩主松平頼聡の孫として生まれ、
十二代頼寿の養子となり十三代を継いだ。
世が世ならば、お殿さま。どうりで品がいいはずだ。
まさに、校長先生の品格で、高校を選んだ。
彼の評伝によると、
「気品に満ち、優しい性格でだれからも好かれ慕われた」とある。
実際、入学してから接する松平校長は、
その敬愛する松平校長と比較するのもおこがましいが、
まったく、この人の品性を疑う。
経営計画の説明のため、
民主党の会合に出席したNHKの籾井勝人会長は、
過去の発言に対する厳しい質問に激しい口調で反論した。
民主・階 猛衆院議員
「理事全員から辞表を預かっているという問題に対して、『こんなことは、世の中ではやっていないですよ』と、私が指摘したところ、『一般社会では、よくあること』とおっしゃいましたよね」
籾井会長「あるものはあるんです。皆無ではありません」
階議員「よくあることって言ってたじゃないですか。よくあることなんですか、本当に」
籾井会長「よくあることじゃないですか? ちょっと待ってください、言葉尻をとらえないでくださいよ」
階衆議院議員が質問していたのは、
2014年、籾井会長が就任直後に、理事全員に辞表を提出させていた問題。
籾井会長は国会で、階議員の質問に対し、
「こういうことは、一般社会ではよくあることだと、私は理解しております」と述べていた。
この発言をめぐり、18日、怒号が飛び交う激しい応酬になった。
階議員が、「信用できませんよ。撤回してください」と述べると、
籾井会長は「撤回いたしません」と述べた。
籾井会長が、「我々にとりまして、放送が一番大事なことです。そういう意味において、わたしが場外で何を言ったとか、かにを言ったとか...」と述べると、
「国会は場外なのか!! 国会だぞ!」と怒号が飛んだ。
会合終了後、延長戦が勃発した。
階議員「失礼だよ」
籾井会長「何が失礼だ。あなたこそ失礼じゃないですか」
階議員「何言ってるんですか」「あなた、全く議論にならないですね」
籾井会長「ならないですね、あなたも」
階議員「あなたですよ」
籾井会長「あなたです」
階議員「あなたですよ!」
笑顔で丁寧なことばでたしなめるならいざしらず、
売り言葉に買い言葉。
この人が、公共放送のリーダーかと思うと情けない。
NHKの籾井会長は、つい先日定例記者会見で
戦後70年にあたり、従軍慰安婦を番組で取り上げるかどうかについて、
「正式に政府のスタンスがよくまだ見えない。慎重に考えなければ」と
問題発言をしている。
政府の方針に従って番組を制作することを表明したにほかならないとして、
「日本ジャーナリスト会議」と市民団体「放送を語る会」は
経営委員会に対しても籾井会長の罷免(ひめん)を求めている。
そういえば、この国のトップリーダーも、昨日の衆議院予算委員会で
品のない野次を飛ばしている。
ボクは、人をみるとき、品性にいちばん重きをおいている。